血糖トレンド委員会(代表世話人:西村理明東京慈恵会医科大学教授)は19日、生活習慣病患者309名を対象に、生活習慣病患者の新型コロナウイルスによる外出自粛の影響をオンラインで実施した調査結果を発表した。
同調査は、新型コロナウイルス感染拡大が、感染者のみならず、全国的な外出自粛などに伴い多くの人に影響を及ぼしたことを踏まえ、日常的に医療を必要としている、生活習慣病患者(国内1500万人)にどのような影響を与えたのかの分析を目的としたもの。
血糖トレンド委員会は、血糖コントロールの重要性、および「血糖トレンド」の概念とその活用方法について、医学的、学術的および患者視点で分かりやすく正確な情報発信を行うこと目的とした委員会である。調査概要および調査結果は次通り。
1、調査概要
調査期間:6月8日~9日、調査方法:インターネット調査、調査対象:生活習慣病患者 309名(内訳:高血圧 103名、2型糖尿病103名、高脂血症 103名)、実施期間:株式会社マクロミル。
2、調査結果
◆定期通院が必要な生活習慣病患者、必要な通院もコロナ予防で自粛
生活習慣病患者は、定期的に通院し医師の診察を受ける必要がある。だが、新型コロナウイルスの感染流行後には、生活習慣病患者さんの2割が通院を自粛していたことが分った。8割が新型コロナの感染予防を、3割が自主的な外出自粛を理由と回答し、通院に対する患者さんの不安が伺える。
また、約5割の患者が今後の通院についても不安を感じており、その理由の9割は「病院や薬局での新型コロナウイルスへの感染」であった。新型コロナウイルス感染の重症化リスクとして糖尿病などが指摘されていることもあり、流行が収まりつつある現在でも、患者の不安が続いている現状が明らかになった。
今年大きく規制が緩和された「オンライン診療」については、7割の患者が関心があると回答したものの、「実際に受けてみたいと思う」と回答したのは3割であり、関心がある層においても受診に関する見解は二分した。オンライン診療で「クリニックと同程度の診察が受けられるのか」が不安要因になっているようだ。
◆外出自粛で変わった生活習慣。6割で体調管理について意識向上
生活習慣病を抱える患者は、日ごろから、食事や運動などの体調管理を求められているが、今回の新型コロナ感染によって、その意識は高まっていた。調査では、約6割の患者さんが「普段よりも自分の体調管理を意識」したと回答している。
◆5割の患者が自己管理ツールに関心。60代でもツールを利用
自己管理をサポートするツールについても、5割が興味があると回答し、自己管理への意識の高まりが伺える。これらのツールで最も注目を集めていたのは、スマートウォッチや、スマートフォンのアプリ。また、従来、こういったツールは若年層向けと考えられてきたが、60才以上であっても、同様に5割がツールの利用に関心を持ち、また約1割が「既にツールを利用している」と回答した。60代におけるスマートフォンの利用率が向上したこともあり、今後は年代を問わずこのようなツールが活用されていく可能性がある。
◆考察
今回の調査では、糖尿病をはじめとする生活習慣病の患者たちがコロナ感染への不安を抱えながらも、コロナ禍において前向きに体調管理に取り組んでいたことが明らかになった。血糖トレンド委員会では、これからも、糖尿病患者に寄り添い、より良い血糖コントロールを支援すべく、情報発信を行っていく。