本庶氏とのオプジーボに関する特許契約・対価水準は妥当  小野薬品相良社長

 小野薬品の相良暁社長は18日、大阪市内のホテルで開かれた第72回定時株主総会で、本庶佑京大特別教授からのオプジーボの対価をめぐる訴訟提起について言及。「オプジーボの契約や対価水準は妥当である」との認識を示し、「当社の正当性については、今後、司法の場で主張していく」と明言した。
 相良氏は、まず、「6月5日に、本庶先生がPD-1特許に関する記者会見を開き、訴訟を提起するという報道があった。現在は、報道された範囲での内容を知るだけで、正確には把握していない」と現況を説明。その上で、「当社は、本庶先生との間でロイヤリティに係る契約をきちんと締結し、その契約に基づいて適切に支払ってきた。これからも同様に支払っていく」考えを明らかにした。
 本庶氏との契約に関しては「オプジーボの開発は、当時、どの製薬会社も断っていた。当社が大きなリスクを取ったものであり、契約内容も対価水準も妥当なものであると考えている」と強調した。さらに、「本庶先生は、当社について色々と言われているが、残念ながらその中には事実でないことが多く含まれている」と指摘し、「当社の正当性については、今後、司法の場で堂々と主張していく。メディアを通して、泥試合をやるつもりはない」と訴求した。
 また、相良氏は、2つのトピックスとして、「オプジーボの今後の見通し」と「新型コロナウイルス治療薬としてのフオイパンの開発」を挙げた。
 オプジーボについては、「現在、肺がんの2次治療で使用されている。3年前、開発に失敗した結果そうなった」と説明し、「今回、一次治療の患者に使用できるように申請を行った。順調にいけば今年末に承認を取得する」と期待を寄せた。
 オプジーボの胃がんに対する効能効果も「現在、3次治療で承認を得て使われているが、今回、一次治療で使えるよう申請した。来年3月当たりに承認取得する」見通しを示した。
 さらに、「胃がん、食道がん、膀胱がんについては、手術後の再発予防に投与する治験を実施している。治験が終了し成功すれば、順次承認申請にもっていく」計画を示し、「今後、これらの申請・治験がうまく行けば、オプジーボはまだまだ成長できると期待している」と断言した。
 一方、新型コロナウイルス治療薬としてのフオイパンの開発は、「これまでインビトロや動物実験での効果を示す論文がいくつか発表されている」と指摘。その上で、「海外でヒトに対する報告もでてきており、フオイパンを開発したメーカーとしてもその効果を確認する責任がある」と述べ「すみやかに治験に入る」考えを示した。
    

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