湘南アイパーク運営の包括的協業で基本合意 武田薬品とMCUBSR

湘南ヘルスイノベーションパーク

 武田薬品と三菱商事・ユービーエス・リアルティ(MCUBSR)は12日、湘南ヘルスイノベーションパーク(神奈川県藤沢市、湘南アイパーク)運営に関し包括的に協業していくことで基本合意したと発表した。同基本合意は、湘南アイパークが掲げる「世界に開かれたライフサイエンスエコシステムの構築」のミッション実現を目的としたもの。
 武田薬品は、湘南アイパークの中長期的な発展を見据え、本年4月、さらに多様なプレイヤーを呼び込むことを目的に湘南アイパークを信託設定し、同パークの運営体制の進化を図った。
 今回の基本合意 により、両社は戦略パートナーとして、湘南アイパークの一層の進化に向け協業体制を構築する。また、両社は、MCUBSRの親会社である三菱商事の専門部局の支援を受けながら湘南アイパークの価値向上に取り組む。
 湘南アイパークは、サイエンスにおけるイノベーションの強化を目的に、昨年4月、武田薬品が湘南研究所を開放することによりスタートした。湘南アイパークの開所以来約2年で、大手製薬企業のみならず、次世代医療、人工知能(AI)、医療機器、ベンチャーキャピタル、行政など、産官学から幅広い業種や規模の約70の企業および団体が入居。さらに、約20の企業がアイパークメンバーシップに加わり、国内におけるオープンイノベーションのハブとしての機能を拡充してきた。
 一方、MCUBSRは、国内最大級の上場不動産投資信託(J-REIT)運用会社である。特に、産業施設・インフラ施設については、「日本経済の力を産み出す源泉としての社会基盤に投資し、日本の産業活動を不動産面から支えていく」を理念に掲げ、数多くの研究開発施設への投資・運営実績を持っている。
 同協業に先立ち、MCUBSRの親会社である三菱商事は、昨年11月より湘南アイパークのメンバーシップ会員としてエコシステムに参画し、医薬・創薬支援・バイオ関連事業への取り組み推進を図っている他、施設周辺の再開発計画への複合都市開発機能の発揮も検討するなど、湘南アイパークとMCUBSRの共同事業化への各種支援策の準備、検討を行ってきた。
 今回の協業の一環として、MCUBSR が資産運用委託契約を受託する産業ファンド投資法人は、パートナー企業を通じ、湘南アイパークの不動産信託受益権に関する譲渡契約を締結している。
 同協業は、MCUBSRが三菱商事の有するネットワークや機能を活かしながら、湘南アイパークを日本を代表するヘルスイノベーションパークへと発展させることを目的としている。同協業を通じて次湘南アイパークのさらなる価値向上を図る3領域は次の通り。
 ①「事業構築・イノベーションの創出」
 国内外ベンチャー企業、大企業、アカデミアおよびベンチャーキャピタルなど、多様なプレイヤーの誘致を行う。また、ベンチャー企業が成長し、イノベーションを創出するための環境を整備する。
 ②「運営・管理」
 湘南アイパークの維持・管理を適切なコストで行い、先端研究を実施できるサイエンスパークとして継続的に運営していく。また、研究環境の整備と利用者への啓発活動を実施し、法令を遵守した研究活動を管理・促進する。さらに、入居テナントやメンバーシップ会員に対する研究支援機能の維持と発展に取り組む。
 ③「エリア開発・街づくり・地域関係」
 自治体や地域のステークホルダー、近隣住民と良好な関係を維持し、ヘルスイノベーション拠点の実現 に取り組む。
 クリストフ・ウェバー武田薬品代表取締役社長CEOは、「今回の包括的な協業により、両社の持つネットワークや戦略性の融合に加えて三菱商事の支援により、製薬企業ベースのサイエンスパークが、世界に誇るヘルスイノベーション拠点へと発展していくことを大いに期待している」とコメント。
 岡本勝治MCUBSR代表取締役社長は、「武田薬品と当社親会社の三菱商事の協力も受けながら、グローバルに競争力ある施設運営と、魅力ある街づくりに取り組んでいきたい」と抱負を述べている。

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