オムロン ヘルスケアは11日、MICIN、東京ベイ・浦安市川医療センターと、MICINが開発中の「手術患者の退院後フォローアップアプリ」を活用し、心臓外科手術後の患者の退院後予後管理の改善を目的とした1年間の実証研究に参画すると発表した。
同研究は、退院後も在宅環境で取得できるPHRを活用し、医療機関受診までの期間に生じる患者の状態変化を診療に活用する取り組み。同社の通信機能付き健康機器から取得できるバイタルデータと患者の状態や心理的な変化を同アプリ上で取得し、主治医と患者の間での共有により、患者の状態変化を早期にとらえ予後管理に活かせるかを検証する。実証研究期間は1年間。
心臓血管外科手術時には、MICSやTAVIという手術方式がしばしば用いられる。これらの術式は開胸する手術方式と比べると傷は小さく、痛みや出血も少なく抑えられるため、比較的手術後早期のタイミングで退院、社会復帰が可能である。
その一方で、病院で医療従事者からのケアを直接受けられる期間も短いため、患者の中には不安を抱えながら日常生活を過ごす人もいる。医療従事者にとっても、術後限られた期間での管理や、外来の短い時間の中での患者状態の把握は容易ではなく、様々な工夫が必要となる。
同アプリを術後患者が利用することで、自宅で日常生活を過ごしながらも、主治医との自身の健康状態の共有ができ、その状態に基づく受診が可能となる。主治医側は患者の状態変化を早期に気づき、患者側も在宅環境でも主治医との連携が深まるため安心感が高まり、手術後のQOL向上が期待される。
また、今回の実証研究で得られる知見を活用し、虎の門病院においても同様に実証研究を予定している。
実証研究の概要は、次の通り。
◆対象患者:心臓外科手術のMICS、TAVIの適用患者
◆実施期間 :2020年6月1日〜2021年5月31日(1年間)
◆研究の流れ:手術前から退院後18週間までの期間に、対象患者は同アプリを活用→オムロンの通信機能付き健康機器により収集した血圧・体重・活動量のデータと、本アプリに搭載されている問診機能から傷口の状態・体調・気分・食事状況・服薬状況等のデータを収集→アプリを通じて患者のPHRを医療機関に共有→外来診察時に主治医が活用
今回の実証研究で使用する、オムロンヘルスケア通信機能付き健康機器