リムパーザ 膵がんの適応でCHMPが欧州での承認勧告

 アストラゼネカは8日、欧州連合(EU)において欧州医薬品評価委員会(CHMP)が、リムパーザ(一般名:オラパリブ)のBRCA 遺伝子変異陽性転移性膵がん適応について製造販売承認が勧告されたと発表した。CHMPが承認勧告した対象疾患は、生殖細胞系列 BRCA 遺伝子変異陽性(gBRCAm)転移性膵がん患者の初回治療後の維持療法。欧州医薬品庁(EMA)のCHMPの肯定的見解は、The New England Journal of Medicineに掲載されたP3 相POLO試験の結果に基づくもの。
 P3相 POLO試験においてリムパーザは、gBRCAm 転移性膵がん患者の病勢進行または死亡に至るまでの期間をほぼ 2 倍に延長し、その期間の中央値はプラセボ群の3.8 カ月に対してオラパリブ群で7.4カ月であった。なお、同試験におけるリムパーザの安全性および忍容性プロファイルはこれまでの試験と概ね一貫していた。
 アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントのJosé Baselga氏は、「過去数十年あまり、進行膵がん患者さんの治療は進歩が見られていない。今回の勧告により、特定のバイオマーカーによって選択されたEUの進行膵がん患者に対する初の標的治療薬の提供に一歩近づいた」とコメントしている。
 今回のCHMPの勧告は、初回化学療法レジメンにおいて、少なくとも 16 週間の白金製剤ベースの化学療法で病勢進行がみられなかった生殖細胞系列 BRCA1/2 遺伝子変異陽性の転移性膵腺がん患者に対するリムパーザによる維持療法を対象としている。
 リムパーザは、P3相 POLO 試験の結果に基づきgBRCAm 転移性膵がん患者の初回治療後の維持療法として米国およびその他数カ国において承認されており、EU および他の地域においても薬事承認審査が進行している。
加えて、同剤は相同組み換え修復(HRR)関連遺伝子変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんの治療薬として本年5月に米国において承認された。さらに、相同組み換え修復機能不全(HRD)陽性進行卵巣がん患者に対するベバシズマブとの併用療法で初回治療後の維持療法としても米国で承認されている。なお、gBRCAm 転移性膵がんに対するリムパーザの適応は、本邦では未承認である。

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