IQVIAジャパン グループ(本社:東京都)は26日、2019年会計年(19年4月-20年3月)と、2020年第1四半期(20年1月-3月)の国内医療用医薬品市場(薬価ベース)を発表した。
「IQVIAジャパン トップライン市場データ」によると、2019年会計年(19年4月-20年3月)国内市場は10兆6294億円(前年比2.9%増)で5年連続10兆円を超えた。2019年会計年の市場別では、「病院」(5.4%増)「開業医」(0.5%増)「薬局その他」(1.2%増)。3市場ともすべて前年度を上回るのは2年ぶりとなった。
2020年第1四半期 (20年1月-3月)は2兆4915億円(前年比0.2%増)。四半期毎の推移では、2019年第2四半期から4四半期連続のプラス成長となった。
IQVIAジャパン グループでは、日本のヘルスケア産業の発展と透明性の創造、および一般社会に日本のヘルスケア市場についての理解を深めてもらうため、市場規模や薬効、製薬企業および医薬品の売上、処方、疾病に関するトップラインデータをメディアや医療・医学の研究に携わっている学術研究機関に提供している。同社はトップラインデータの開示により一般社会との情報の共有化を図ることで、日本のヘルスケアの発展への貢献を目指している。
2019年会計年(19年4月-20年3月)の日本医療用医薬品市場の主なトピックは次の通り。
●当該期間の日本医療用医薬品市場は、薬価ベースで前年を率で2.9%、額で3000億円余上回る10兆6294億1800万円。5年連続で10兆円超となった。
●病院市場(病床100床以上)は、4兆7925億4200万円(前年比5.4%増)。開業医市場(病床100床未満):2兆1117億1300万円(同0.5%増)。薬局その他市場(主に調剤薬局):3兆7251億6300万円(同1.2%増)。3市場ともすべて前年度を上回るのは2年ぶり
●2017年度に1兆円を突破した「L01抗腫瘍剤」(16.7%増)は、売上げ規模の上位10薬効内で唯一最高の二桁伸び率で、2012年度から8年連続で年間トップ。免疫チェックポイント阻害薬キイトルーダが、「L01抗腫瘍剤」薬効内と共に同期の売上上位10製品でもトップ。
●売上げ規模の上位10薬効中マイナス成長は、「C09レニンーアンジオテンシン系作用薬」、「C10脂質調整剤及び動脈硬化用剤」の2薬効。C09は6年連続、C10は4年連続でマイナス
●売上げ規模の上位10製品では、トップに立ったキイトルーダをはじめ、抗腫瘍薬の4製品が占める。キイトルーダが前年6位からトップへ。2位のアバスチン、4位のオプジーボ、8位には新たにタグリッソがランクイン。売上額1000億円超の製品は、キイトルーダ、アバスチン、リリカの3製品
一方、2020年第1四半期(1月-3月)の市場トピックは次の通り。
●当該期間の日本医療用医薬品市場は、薬価ベースで前年比0.2%増の2兆4915億1100万円。2019年第2四半期から4四半期連続のプラス成長
●市場区分では、病院市場(病床100床以上)が、1兆1123億1600万円(前年比4.3%増)で、2015年第2四半期からの1兆円超が続き、2018年第4四半期から6四半期連続のプラス成長。
開業医市場(病床100床未満)は4833億8800万円(同5.1%減)、薬局その他市場は8958億0600万円(同1.7%減)で、両市場とも2019年第4四半期に続くマイナス成長
●売上規模による上位10薬効のうち、トップ「L01 抗腫瘍剤」、2位「A10 糖尿病治療剤」は、変わらなかったが、「L04免疫抑制剤」が2つ順位を上げて3位に
●売上げ規模の上位10薬効で1000億円超は、「L01」「A10」「L04免疫抑制剤」 「B01抗血栓症薬」など4薬効、前年の「L01」「A10」に2薬効増えた。「L01」は、2018年第4四半期以降、6四半期連続の3000億円超
●売上げ規模の上位10製品では、前年2位の免疫チェックポイント阻害薬キイトルーダがトップ。前年から3位に順位を上げた同じ作用機序のオプジーボ、2位のアバスチンと1位から3位までをがん治療薬が占めた。