オプジーボ・ヤーボイと化学療法限定追加併用療法 FDAが肺がん一次治療として承認    小野薬品

 小野薬品は27日、オプジーボとヤーボイの併用療法にプラチナ製剤を含む2 剤併用化学療法2サイクルを追加した併用療法について、米国FDAが肺がんのファーストライン治療薬として承認したと発表した。対象疾患は、EGFRやALK遺伝子変異陰性の進行または再発性非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者。ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(BMS社)が 26 日に発表したもので、オプジーボとヤーボイを含む併用療法では、ファーストラインの肺がんで二つ目の承認取得となる。
 同療法は、 PD-L1発現レベルにかかわらず、扁平上皮がんまたは非扁平上皮がんの患者を対象に承認された。この適応は、一刻も早く安全かつ有効な治療を患者に届けることを目的とする FDAのリアルタイムオンコロジーレビュー(RTOR)パイロットプログラムの下で審査された。
 5月15日には FDAが、FDAが承認した検査により測定されたPD-L1発現率が1%以上の進行 NSCLC患者のファーストライン治療薬として、オプジーボとヤーボイの併用療法を承認している。
 化学療法を限定して追加したオプジーボとヤーボイの併用療法の承認は、P3試験(CheckMate-9LA試験)のあらかじめ計画された中間解析に基づいている。同試験において(最短8.1カ月の追跡調査)、PD-L1発現および腫瘍の組織型にかかわらず、オプジーボとヤーボイの併用療法にプラチナ製剤を含む 2剤併用化学療法2サイクルを追加した併用療法は、化学療法と比較して、良好な全生存期間(OS)の延長を示しました[ハザード比(HR)0.69;96.71%信頼区間(CI): 0.55 – 0.87;P=0.0006)]。
 全生存期間の中央値(mOS)は、併用療法群で 14.1カ月(95% CI:13.2 -16.2)、化学療法群では 10.7カ月(95% CI:9.5 – 12.5)であった 。12.7カ月の追跡調査の解析において、ハザード比は0.66(95% CI:0.55 – 0.80)に改善し、mOS は併用療法群で15.6カ月(95% CI:13.9 – 20.0)、化学療法群で10.9カ月(95% CI:9.5 – 12.5)であった。
 1年生存率は、併用療法群で63%、化学療法群で 47%であった。
 オプジーボの「警告および注意」には、次の事象が含まれている:免疫介在性肺臓炎、免疫介在性大腸炎、免疫介在性肝炎、免疫介在性内分泌障害、免疫介在性腎炎および免疫介在性腎機能障害、免疫介在性皮膚関連副作用、免疫介在性脳炎、その他の免疫介在性副作用、infusion reaction、胎児毒性、および多発性骨髄腫患者におけるサリドマイド類似体とデキサメタゾンの併用療法にオプジーボを追加投与した際(比較対象試験以外では推奨されない)の死亡率の増加。
 免疫介在性副作用に関しては、ヤーボイの黒枠警告を含め、「重要な安全性情報」の項目を参照に。
 CheckMate-9LA試験の治験担当医師であり、オハイオ州立大学ジェームズ胸部腫瘍センター所長のDavid P. Carbone(M.D.、Ph.D.)は、「免疫療法薬による2剤併用療法ががん治療において果たす役割と患者の長期生存に及ぼし得る影響を理解するにあたり、我々は大きな進歩を遂げてきた」と指摘。
 その上で、「CheckMate -9LA試験の肯定的な結果は、PD-L1 の発現率にかかわらず、化学療法を限定して追加した免疫療法薬の 2 剤併用療法が、NSCLC患者にベネフィットをもたらすことを示している。今回の承認により、オプジーボとヤーボイの併用療法を含む治療選択肢をさらに多くの患者に提供できるようになり、より長期の生存をもたらす可能性がある」とコメントしている。
 CheckMate-9LA試験において、盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価による奏効率(ORR)は、化学療法を限定して追加したオプジーボとヤーボイの併用療法群で38%(95% CI:33 – 43)、化学療法群で25%(95% CI:21 – 30)であった。
 ブリストル・マイヤーズスクイブ社のがん・免疫疾患・心血管疾患担当米国責任者兼ゼネラルマネジャーの Adam Lenkowsky氏は、「非小細胞肺がんは、患者集団によって異なるニーズを満たすために複数の治療選択肢が必要となる複雑な疾患である」と明言。さらに、「進行NSCLC 患者のファーストライン治療薬として、オプジーボとヤーボイを含む併用療法が二つ目の適応承認を取得したことは、より多くの患者に、患者とPD-L1発現状態に応じて化学療法を限定して追加することが可能な免疫療法薬の2剤併用療法による治療を提供するとともに、長期生存の可能性をもたらす」と述べている。
 なお、オプジーボとヤーボイの併用療法は、潜在的に相乗的な作用機序を特徴とし、がん細胞を攻撃するために二つの異なるチェックポイント(PD-1とCTLA-4)を標的とする免疫チェックポイント阻害薬の2 剤併用療法である。ヤーボイはT細胞の活性化と増殖を促し、オプジーボはT細胞によるがん細胞への攻撃を助ける。ヤーボイにより活性化したT細胞の一部はメモリーT細胞となり、長期の免疫反応をもたらす可能性がある。

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