中枢神経系原発リンパ腫治療薬「ベレキシブル錠」新発売      小野薬品

 小野薬品は20日、国内でブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤の「ベレキシブル(一般名:チラブルチニブ塩酸塩)錠80mg」を新発売した。同剤は、再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫を効能・効果とする。
 中枢神経系原発リンパ腫(PCNSL)は、初発時に病変が脳脊髄(眼を含む)に局在する悪性リンパ腫である。PCNSL患者が呈する徴候および症状は病変部位により異なり、局所神経障害、神経精神症状、頭蓋内圧上昇に関連する症状、発作、眼症状、頭痛、運動困難、脳ニューロパチー、神経根障害などがある。
 現在、未治療 PCNSL 患者には高用量メトトレキサート療法を基盤とする薬物療法およびその後の全脳放射線療法が行われており、一部の患者集団で長期寛解するものの、多くの患者は再発に至る。
 また、既存の薬物療法が奏効しない難治性患者も存在する。再発又は難治性のPCNSL患者に対しては標準治療が確立されておらず、治療選択肢は限定的であり、新たな治療薬が望まれている。
ベレキシブル錠は、標準治療が確立していない再発又は難治性のPCNSL患者の治療薬として、世界で初めて承認された BTK 阻害剤となる。日本におけるPCNSLの年間発症数は約980人と推定されている。
 なお、小野薬品は、昨年11月27日に「原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫」に対する効能又は効果に係る申請も行っている。
 ベレキシブル錠は、小野薬品が創製した選択性の高い経口BTK 阻害剤であり、国内においてB細胞腫瘍患者および自己免疫疾患患者を対象に開発を進めている。B細胞受容体(BCR)シグナル伝達は、B細胞系リンパ球細胞の生存、活性化、増殖、成熟および分化に関する中心的役割を担っており、特にB細胞性非ホジキンリンパ腫(B-NHL)および慢性リンパ性白血病CLL)では、BCR シグナル伝達経路が恒常的に活性化していることが知られている。
 ベレキシブルは、 BCR の下流に位置するメディエーターであるBTKの阻害により治療効果が期待される。
 小野薬品は、2014年12 月に、日本、韓国、台湾、中国および ASEAN 諸国以外の全世界におけるチラブルチニブ塩酸塩の開発・販売権を米国 Gilead Sciences, Inc.に供与するライセンス(導出)契約を締結している。

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