セリアック病治療薬の開発でPvP Biologics社を買収       武田薬品

 武田薬品は26日、コントロール不良のセリアック病治療薬TAK-062(Kuma062)のP1試験( proof-of-mechanism試験・作用機序の確認試験)結果を受けて、PvP社を買収したと発表した。
 ベストインクラスとなり得る極めて強力なスーパーグルテナーゼのTAK-062は、摂取したグルテンを分解するタンパク質であり、グルテンの摂取によって小腸に炎症や損傷がもたらされる深刻な自己免疫疾患であるセリアック病の治療薬としてコンピュータで人工的に設計された。
 P1試験では、健常人とセリアック病患者の両方でTAK-062の安全性と忍容性を検討。摂取したグルテンに対するTAK-062の分解能については、健常人を対象として検討した。武田薬品では、今後の医学会で同P1試験結果を発表するため、学会にデータを提出する予定。
 セリアック病患者は、その多くがグルテンフリーの食事によって症状管理できる一方、重度の症状が継続している患者に対する治療法はないのが現状だ。PvP社のこれまでの取り組みにより、TAK-062が高度な標的療法であり、TAK-062によってセリアック病の標準治療を変えられる可能性が示された。
 武田薬品は、事前交渉で決定された一時金および開発・申請・承認に応じた、総額最大3億3000万米ドルのマイルストン支払いにより、PvP社買収のオプション権を行使。武田薬品とPvP社は事前に開発およびオプション権に関する契約を締結しており、同契約により、PvP社は TAK-062のP1試験としてのproof-of-mechanism試験までの研究開発の実施を担当し、武田薬品は予め定義された開発計画に対して資金を提供した。武田薬品は、今回の買収オプション権を有する提携(Build-to-Buy)の成功により、コントロール不良のセリアック病の治療薬となり得る2つ目の品目となるTAK-062をパイプラインに追加した。
 今後、同社は、消化器疾患領域で培ってきた高い専門性を活用して、異なるモダリティを有し、いずれも臨床において作用機序が実証されているTAK-062およびTAK-101の臨床試験をさらに進めていく。
 現在、TAK-062については、グルテンフリーの食事を維持しているコントロール不良のセリアック病患者を対象に、同剤の有効性評価および用量設定を目的としたP2b試験を計画している。
 一方、TAK-101は、既にP2a試験データを公表済み。同試験では、TAK-101がT細胞の反応を抑制することが示され、疾患特異抗原であるグリアジンタンパク質を含む独自のナノ粒子の免疫摂取により、セリアック病患者においてグルテンに対する寛容性を誘導する可能性が示唆されている。

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