アッヴィは、22日より再発/難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)および小リンパ球性リンパ腫(SLL)の治療薬として、経口BCL-2阻害薬ベネクレクスタ(R)錠を発売する。
ベネクレクスタ(R)は、BCL-2と呼ばれる体内の特定タンパク質を標的とする経口BCL-2阻害剤。がん細胞で失われたアポトーシスまたは自己破壊の過程を回復させる作用を有し、再発/難治性のCLLおよびSLL患者さんに対する、従来の殺細胞性の化学療法を含まない、新たな治療選択肢となる。
CLLは、一般的に緩徐な経過を示し、予後不良因子を有するCLL患者を除き、標準治療により初回奏効が高い割合で認められるが、その後の再発は避けられない。
後続の治療により奏効するケースもあるが、奏効率は順次低下し、奏効期間も短くなる。17番染色体の短腕欠失(17p欠失)。またはがん抑制遺伝子TP53に変異を持つCLL患者は予後が不良である。
アッヴィは、ベネクレクスタ(R)を国内で初めて、再発/難治性のCLLおよびSLL治療薬として昨年11月に製造販売承認申請し、本年9月に承認された。この承認は、国内P1/2相試験および、21カ国、389人の再発/難治性CLL患者を対象としたMURANOP3臨床試験データに基づいている。
MURANO試験は、多施設無作為化非盲検国際共同試験で、再発/難治性CLL患者において、ベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組換え)併用投与群と、標準治療のひとつである化学免疫療法のベンダムスチン塩酸塩とリツキシマブ(遺伝子組換え)併用群を比較したもの。
主要評価項目である無増悪生存期間において、24カ月の固定投与期間終了後のベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組換え)併用投与群のベンダムスチン塩酸塩とリツキシマブ(遺伝子組換え)併用群に対する優越性が検証され、層別ハザード比:0.17(95%Cl:0.11-0.25)との結果なった。
有効性副次評価項目では、ベネトクラクスとリツキシマブ(遺伝子組み換え)併用投与群において全奏効率92.3%を達成し、末梢血MRD陰性率62.4%を達成した。MRD陰性(uMRD:undetectable)とは、治療終了後に血液または骨髄中に残るCLL細胞が白血球1万個中1個未満と定義される客観的な指標である。