米国で複雑尿路感染症治療薬の承認取得      塩野義製薬

 塩野義製薬15日、FDAに新薬承認申請していた複雑尿路感染症治療薬FETROJAについて、14日付で、適応承認を取得したと発表した。
 適応症は、他の治療選択肢が無い、もしくは限られた18歳以上の患者のグラム陰性菌による腎盂炎を含む複雑尿路感染症治療。
 FETROJAは、優先審査の対象となり、米国市場の独占期間が5年間延長されるQIDPに指定されており、米国での発売は2020年初めを予定している。
 グラム陰性菌のカルバペネム系抗菌薬への耐性獲得には主に3つの機序が関連するが、FETROJAはそれらの影響を受けずに抗菌力を発揮する初のラクタム系抗菌薬である。
 今回の承認は、主検証試験である複雑尿路感染症を対象とした国際共同試験(APEKS-cUTI)と、副次試験であるカルバペネム耐性菌感染症を対象とした国際共同試験(CREDIBLE-CR)の結果をもとに判断されたもの。
 APEKS-cUTI試験でFETROJAは、主要評価項目である投与終了時から約7日後の臨床効果および細菌学的効果の複合有効率について、対照薬であるイミペネム/シラスタチン(IPM/CS)に対する非劣性を示すと共に、優越性も示した。
 また、FETROJA群の有害事象の発生率は重篤なものも含めIPM/CS群より低く、FETROJAに対する良好な忍容性が確認された。
 CREDIBLE-CR試験は非盲検で実施され、FETROJA群ではFETROJA単剤投与の割合が82.5%であったのに対し、既存薬による最善の治療群では2または3剤による併用療法が81.9%で、その多くにコリスチンを含んでいた。
 FETROJAは、主要評価項目である投与終了時から7日後の臨床効果および細菌学的効果について、既存薬による最善の治療法と同程度の効果を示した。また、副次評価項目である投与開始28日後の全死因死亡率は、FETROJA群で24.8%(25/101例)、既存薬による最善の治療群で18.4%(9/49例)であった。 FETROJA群で死亡率が高くなった原因は特定されていないが、患者の死因の多くは感染症の悪化、合併症の併発、基礎疾患によるものであった。なお、試験の責任医師、データ安全性モニタリング委員会、ならびに死因裁定委員会からは、FETROJAの投与と死亡の関連性はないと判断されている。

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