ロイバント社との戦略的提携 正式に契約締結     大日本住友製薬

左からラマスワミー氏、野村氏

 大日本住友製薬は1日、ロイバント社(本社:英国ロンドン・スイスバーゼル)と戦略的提携に関する正式契約を締結したと発表した。同提携は、ポストラツーダ(非定型抗精神病薬)の候補品獲得に加え、初期パイプライン、ヘルスケアテクノロジープラットフォームおよび人材獲得などを目的としたもの。同契約締結により大日本住友製薬は、同社が2023年に目指す姿として掲げる「グローバル・スペシャライズド・プレーヤー」の地位確立に向かって大きく前進する。
 一方、ロイバント社は、機敏性と起業家精神を重視したバイオファーマ会社である「Vant」を20件設立し、合計40品目の開発品を有する。各Vantは、独特な手法により人材の採用やテクノロジーの導入を通じて研究開発と販売の効率化に取り組んでいる。
 正式契約内容は、大日本住友製薬によるロイバント社の子会社5社の株式取得、他の子会社6社の株式取得に関するオプション(一定の条件下での交渉権)の獲得、ロイバントの株式の10%以上の取得、ヘルスケアテクノロジープラットフォームの取得ーなどが盛り込まれている。
 ロイバントの子会社5社は、合計9品目の有望な開発ラインを有しており、2019年度から2022年度までの間に米国で複数の承認取得が期待されている。
 その中で、ポストラツーダの候補品となるのが「レルゴリクス」(子宮筋腫・子宮内膜症・前立腺癌)と「ビベグロン」(過活動膀胱、過敏性腸症候群関連疼痛など)で、前者は子宮筋腫、後者は過活動膀胱効能効果で、いずれも2019年度米国申請を予定している。
 大日本住友製薬の野村博社長は、「ラツーダは2000億円の売上高がある。2023年2月のラツーダの特許切れの後、ただちにこの2品目でそれをカバーできるとは思っていない」と予測する一方で、「全体の経費をコントロールして損益的には計画通りに進めていきたい」と強調した。
 野村氏は、レルゴリクス、ビベグロン発売後の販売体制にも言及し、「基本的に、セールスレップやメディカルアフェアーズを活用する」方針を示唆。米国でのコマーシャルについては、「サポートファンクションを有する米国子会社のサノビオンに任せる」考えを示した。
 一方、ロイバント社のFounder&CEOのビベック・ラマスワミー氏は、ロイバント社にとっての戦略的意義として、「同社のビジネスモデルが今回の戦略的提携の成功により証明される」、「オプション子会社は、将来の事業化を見据えた提携候補を確保」、「テクノロジーの共有でスケールメリットによる価値が高まる」などを挙げた。
 今後の具体的なスキームについては、ロイバント社は、同戦略提携のために100%出資の新会社を設立し、ロイバント社の有する子会社5社の株式(ロイバント社持分)と、ヘルステクノロジーに関わる人材を移管。大日本住友製薬は、新会社の全株式、DrugOmeおよびデジタルイノベーションに関わる資産を取得する。
 同戦略提携の対価として、大日本住友製薬は総額30億米ドル(約3300億円)をロイバント社に支払う。その内訳は、新会社の株式取得2200億円、ロイバント社の株式取得1100億円。クロージングは2019年度中の見込み。
 新会社は、「Vant管理機能」、「サイエンス、メディカル機能」、「事業・販売開発機能」、「テクノロジー機能」を開設して事業を運営する。
 

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