塩野義製薬は18日、同社とヤンセン社並びにアルツハイマー治療薬研究基金(ADDF)が「臨床検体アクセス契約」の締結に向けて合意し、東京で開催中の世界認知症審議会(WDC)で発表したことを明らかにした。
人口の高齢化に伴い、アルツハイマー病(AD)は大きな社会問題となっている。世界で4400万人以上の人々がADを含む認知症を抱えて暮らしており、その数は日々増加している。
ADの早期発見のためにはバイオマーカーの特定が重要な研究テーマの一つで、初期の段階でADを的確に検出しモニタリングしていくことが臨床試験や治療法の開発を進める上で重要となっている。
これまで同社とヤンセン社は、開発を中止したAD治療薬候補の臨床開発プログラムから得られた重要なデータや臨床検体の世界の科学界への提供を検討してきた。
今回の合意に基づき両社は、今後、AD治療薬の創薬促進を目的としたバイオマーカー開発を加速させるため、資金提供プログラムを実施しているADDFと協力。患者から臨床研究での使用許可が得られた臨床検体や、それに付随する匿名化された臨床データをアカデミア等の研究機関が利用できるよう、契約の締結に向けて調整していく。
この資金提供プログラムは、AD関連疾患のバイオマーカーを特定し、その特性を明らかにするために選択された研究開発に対して、ADDFより研究資金を提供するもの。