10月より薬局の連携体制整備の検討モデル事業開始      大阪府薬

藤垣会長

 大阪府薬は、10月より「2019年度薬局の連携体制整備のための検討モデル事業」をスタートする。藤垣哲彦会長が、19日に大阪市内で開催した定例記者会見で明らかにしたもの。大阪府下11地域で分担試行されるモデル事業は、「入退院時情報共有シート」、「服薬情報等の継続的なフォローアップ」、「多職種との情報共有」など。同事業は12月末まで試行され、その後報告書が取りまとめられる。藤垣氏は、22日に大阪市、28日に大阪府に提出する「2020年度予算編成に対する要望書」の内容も説明した。
 「2019年度薬局の連携体制整備のための検討モデル事業」は、大阪市天王寺区、同住吉区、同東淀川区、同西淀川区、堺市、池田市、高槻市、寝屋川市、八尾市、松原市、泉佐野市の11地区をモデル地域とし、各地区で4項目を分担試行する。
 その中で、かかりつけ薬剤師・薬局において入院前段階の服薬整理などを行い、服薬状況等を情報提供する「入院時情報共有シート」、かかりつけ薬剤師・薬局へ退院後の服薬指導に必要な情報を提供する「退院時情報共有シート」の試行は、全モデル地域で実施する。
 一方、分担試行①は、患者同意の手段(電話、メール、アプリ等)と頻度で服薬状況を確認して患者評価等を調査し、疾病種類等で特徴を分類。基本的な対応フォローを検討・提案する「服薬状況等の継続的なフォローアップ」で、住吉区、池田市、高槻市、寝屋川市、八尾市、松原市、泉佐野市の7地域で実施する。
 分担試行②の「多職種(かかりつけ医在宅医療の関係職種等)との情報共有」は、東淀川区、西淀川区、寝屋川市、八尾市、堺市、泉佐野市の6地域で実施。
 分担試行③では、「専門的な薬局の在り方」で、特定機能病院等の病院薬剤部との協議を中心に、他の地域の薬局への患者紹介を含めたシュミレーション整理を図る。東淀川区、天王寺区と大阪がん国際センターの2地域1医療機関で実施する。
 分担試行④「地域薬局間の協力体制」では、薬局間の情報共有(休局等で代理対応があった場合の情報提供依頼~薬歴管理など)の仕組みについて検討を図り、服薬情報の集約管理及びフィードバックの手法について、基本的なフローを検討・提案する。モデル地区は、天王寺区、高槻市、八尾市、泉佐野市の4地域。
 堀越博一常務理事は、「これらの取り組みは、薬機法の改正を見据えたものである」と指摘し、「1年でエビデンスができるとは思えないないが、終了後には報告書を取りまとめる」と説明。
 藤垣会長も、「これまで、このようにまとまった事業展開の経験はない」とした上で、「来年、再来年の実施については補助金・予算の絡みもあり断言できないが、可能であれば続けてエビデンスを作っていきたい」との考えを示した。
 一方、大阪市・大阪府に提出する2020年度予算編成に対する要望書は19項目で構成されている。その中で、「かかりつけ薬剤師・薬局の推進」、「後発医薬品使用促進の後押し」、「地域医療における健康情報拠点としての薬局の活用」、「認知症対策」、「災害時医薬品確保体制の整備並びに薬局薬剤師の参画」、「学校環境衛生検査の全項目実施に向けての取り組み」の6項目については、最重点要望事項とする。
 藤垣会長は「後発医薬品使用促進の後押し」について、「大阪府では2年前に69%であった後発品使用率が75%まで上昇した。全国平均の77.5%には及ばないが、府と市と協力して上げていきたい」と訴求した。
 尾島博司副会長は、7月の本田あきこ氏の参議院選挙に言及し「当選は、2年3カ月に渡って全国行脚したことが大きい。名前と顔を覚えてもらって、印象も良かった。SNSによる情報拡散も寄与した」と分析。
 さらに、「大阪府の獲得票は5687票で、大阪府薬の会員数の8000票に満たなかった」と報告し、「次の参議院選挙では8000~9000票獲得できるように検討委員会で施策を練っていきたい」と強調した。

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