塩野義製薬は16日、同社がグラクソスミスクライン、ファイザーとともに資本参加するヴィーブ社(英国)が開発した1日1回投与のドルテグラビル(DTG)とラミブジン(3TC)配合抗エイズ薬「トベート」が、欧州委員会(EC)で承認されたと発表した。
同剤の適応は、抗レトロウイルス療法の治療歴の有無にかかわらず、DTG、3TCのいずれにも薬物耐性が認められていない成人HIV-1感染症を対象としている。
トベートの承認は、1400名以上の成人HIV-1感染患者を対象としたGEMINI-1とGEMINI-2の2つのP3試験のデータに基づいたもの。これらの試験では、HIV-1に感染した抗レトロウイルス薬による治療歴のない成人を対象に、DTG +テノホビル(TDF)/エムトリシタビン(FTC)の3剤による推奨レジメンと、DTGと3TCの2剤レジメンの比較評価が実施された。
その結果、トベートは、主要評価項目(HIV-1抑制の標準的な評価項目であるHIV-1ウイルス量が50コピー/mL以下を達成した比率)で非劣性を示した。
また、GEMINI-1とGEMINI-2におけるドバトの安全性結果では、DTG(製品名: テビケイ)と3TC(製品名: エピビル)それぞれの添付文書の記載と相違なく、いずれの治療群においても薬剤耐性によるウイルス学的失敗は認められなかった。
欧州では、毎年新たに約2万5000名がHIVの感染が診断されている。現在、HIV患者は、生涯にわたって抗レトロウイルス治療が必要と考えられており、新たな治療選択肢はすます重要視されている。
トベートは、2019年4月に米国FDAで承認されており、今後、諸外国でも承認申請が予定されている。
塩野義製薬は、同件が19年度業績に与える影響は軽微としている。