高尿酸血症・痛風の特徴と予防のポイント 日本生活習慣病予防協会

 昨年12月に日本痛風・尿酸核酸学会が「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版」を公表し、本年6月にはダイジェスト・ポケット版が刊行される。
 こうした中、生活習慣病の一次予防の普及・啓発を担う日本生活習慣病予防協会(理事長宮崎滋氏)では、ガイドライン改訂に携わった同協会所属の市田公美氏(東京薬科大学薬学部教授)、金子希代子氏(帝京大学薬学部教授)が解説する「高尿酸血症・痛風の特徴とガイドラインおよび予防ポイント」を22日より公表している。主な内容は、次の通り。
 尿酸値が高い高尿酸血症と推定される人は、1000万人を超えるとされている。特に、頻度が高いのは30代以降の男性。高尿酸血症が増加している要因としては、食生活、特にお酒の飲みすぎやプリン体の多い食物や果糖の過剰摂取、さらには運動不足による肥満がベースにある。
 尿酸のもとであるプリン体は、近年、悪者扱いされることが多いが、体内にもともと存在する重要な物質。血液中の尿酸は抗酸化物質として働いて、適量なら体に役立つ働きもしてくれている。尿酸値は低すぎても高すぎても問題で、尿酸値を正常値の範囲内に保つことが重要である。
 プリン体は、実は“旨味”のもと、おいしい物に多く含まれるため、ついつい多く摂取してしまうケースも珍しくない。どんな食物に含まれるかを知ることが大切で、最も多いのはレバーや白子といった内臓。アルコールはそれ自体が尿酸値を上げる作用を持つので、種類やプリン体ゼロでも、飲む量にも注意が必要である。
 高尿酸血症の基準となる、尿酸値については、ガイドラインでは、7.0㎎/dlを正常値の上限とし、これを超えるものを高尿酸血症と定義している。女性の場合は、女性ホルモンが尿酸の腎臓からの排出を促進するため、平均値が男性よりも1.5㎎/dl程度低くなる。
 閉経後は徐々に数値が上がる傾向にあるが、閉経前で、尿酸値が5.5㎎/dlを超えたら、生活習慣病のリスクに注意を要すると指摘する専門家もいる。
 今回改訂されたガイドラインでは、高尿酸血症のリスクとしては、従来、痛風と尿路結石が知られているが、ほかにも様々な疾患との関連性が明らかになってきた。明確なものは腎障害。その他、尿酸値が高い人では、肥満やメタボリックシンドロームを伴うことも多く、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病との関連も指摘されており、その結果、脳・心血管障害の促進因子になっている可能性も考えられる。
 「尿酸値が高め」と指摘されたら、生活習慣の改善を始める必要がある。そのポイントとしては、◆アルコールの過剰摂取に注意◆プリン体の多い食物を摂りすぎない◆腹八分目、食べすぎない、適正体重を心がける◆水分を十分に摂る◆運動、とくに有酸素運動を心がけるーの5項目に注意を要する。

タイトルとURLをコピーしました