アストラゼネカは21日、10年以内に卵巣がんと診断された 20 代以上の卵巣がん患者111名(患者調査)と卵巣がんに罹患していない女性1314名(一般調査)を対象に実施した「卵巣がんに関する WEB アンケート調査」結果を発表した。
同調査は、本年8月27日~9月1日まで、調査機関のメディリードがWeb形式により実施したもの。患者調査は、卵巣がんに対する認識の把握と、卵巣がん情報の収集における実態の確認、および卵巣がん患者の情報ニーズや困りごとの把握を目的に行われた。その結果、「信頼できる卵巣がん情報がワンストップで入手できる環境」が求められている現状が確認された。
また、一般調査は、卵巣がんに対する認識および知識レベルの把握と、婦人科検診の受診状況の把握を目的に実施され、卵巣がんに対する認識の低さが明らかとなった。
患者調査では、97%の患者が卵巣がんに関する情報を自ら調べていることが確認され、医療情報関連サイトや病院HP、患者のブログなど、情報収集源が多岐にわたることも明らかになった。
また、62%の患者が「情報収集時に困難を感じた」と回答しており、最も多かった回答が「信頼できる情報がどれだかわからなかった」(56%)、次いで「いろいろなサイトを見に行かなければならなかった」(39%)となった。
こうした状況を反映して、72%の卵巣がん患者が「情報が集約されている方が便利」と回答している。患者は、必要とする情報が医師の監修などがある信頼できる形で一か所にまとまって入手できる状態を望んでいることが確認できた。
また、医師の治療内容の説明に対する患者の理解度と、患者さんから医師への質問や相談のし易さに関する調査に関して、「医師からの説明において専門用語などが難しくその場ですぐに理解できなかった」、「医師に質問や相談ができる雰囲気はあるものの、診察時間の制限などから質問や相談をするのに躊躇してしまった」として、半数を超える患者が、医師からの治療説明を診察時間中に質問できず疑問が解決できなかったと回答した。
これに対して、10 月 14 日に開催されたオンラインセミナー「「わかる卵巣がん」~卵巣がんとうまくつきあうには?~」に登壇した藤原聡枝氏(大阪医科薬科大学 医学部 産婦人科学教室)は、「患者さんには納得するまで遠慮なく医師に相談してもらいたいし、医師側も患者さんが十分理解できるよう、分かりやすい説明を心掛ける必要がある」とコメントしている。
一方、卵巣がんに罹患していない女性を対象とした一般調査では、約6割が婦人科検診を受けていないことが明らかになった。婦人科検診を受けない主な理由では、「不調を感じていない」(43.6%)、「必要性を感じていない」(23.4%)であった。
一般的にがんの罹患のリスクが高くなるといわれる40代以降においても婦人科検診を受けていない女性が多く、年齢による大きな差はなかった。
卵巣がんに対する知識は、認識・知識レベルの低さが示され、例えば、卵巣がんに罹患した家族・親族の存在が、卵巣がんの発症リスクに繋がると理解している人は、乳がんでの同様のケースと比較して22%低い結果となった。
「発症しやすい年齢」「リスク要因」「自覚症状」のいずれの項目においても、乳がん/子宮頸がんと比較して「わからない」と回答した人が多く、卵巣がんに対する一般の認識・知識レベルの低さが確認された。
また、卵巣がんの自覚症状として考えられる「おなかの張り」「腹痛」など、お腹周りの不調を感じた際には多くの人が婦人科ではなく内科を受診することも明らかとなった。
今回実施した患者調査および一般調査により、卵巣がん患者の情報収集や医師とのコミュニケーションにおける苦労、卵巣がんに罹患していない女性の卵巣がんに対する認識の低さなど、卵巣がんを取り巻くさまざまな課題が明らかになった。
アストラゼネカでは、こうした課題を少しでも解決するため、卵巣がんに関する信頼できる正確な情報をワンストップで提供可能にする「わかる卵巣がん」LINEアカウントを開設。今後もアストラゼネカは、卵巣がんの疾患啓発活動を通じて疾患に関する正しい情報の提供と、患者のより前向きな治療をサポートできるよう尽力していく。
◆松尾 恭司アストラゼネカ執行役員メディカル本部長のコメント
調査結果から、卵巣がん患者さんにおいては、ほぼ全ての患者さんが自身で疾患に関する情報収集をしており、それに困難を感じている実態が明らかになった。「信頼できる正確な情報を手軽にかつ一か所で入手したい」という明らかなニーズを確認できた。
また、卵巣がんに罹患されていない女性においては、「卵巣がんに対する知識の向上」と、「婦人科検診の受診への意欲」を高めていただく必要があることが判明した。2人に1人はがんになると言われている現在、女性であれば卵巣がんリスクにも意識が向くように引き続き「卵巣がんの疾患啓発」を続けていきたいと思う。