アストラゼネカと小野薬品は26日、アストラゼネカの選択的SGLT2阻害剤フォシーガについて、2型糖尿病合併の有無に関わらず慢性腎臓病(ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く)の効能・効果を25日に取得したと発表した。
厚労省による同承認は、P3相DAPA-CKD試験の肯定的な結果に基づくもので、今年初めに厚労省に指定された優先審査に則り行われた。
慢性腎臓病(CKD)は、腎機能の低下を伴う重篤な進行性の疾患で、多くの場合、心疾患や脳卒中の発症リスクの増加と関連している。世界で8億4000万人以上、日本では約1300万人が罹患していると推定されている。だが、その診断率は低く、90%の患者は罹患していることに気が付いていない。
フォシーガは、日本で初めてのCKDの治療薬として承認された薬剤である。 P3相DAPA-CKD試験においてフォシーガは、CKD ステージ 2~4、かつ尿中アルブミン排泄の増加を認める患者を対象に、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEi)もしくはアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)との併用で、腎機能の悪化、末期腎不全 への進行、心血管死または腎不全による死亡のいずれかの発生による複合主要評価項目のリスクを、プラセボと比較して、39%低下させた (絶対リスク減少率 [ARR]=5.3%, p<0.0001)。
また、フォシーガは、プラセボと比較して、全死亡の相対リスクを有意に 31%低下させたPage 2 of 4(ARR=2.1%, p=0.0035) 。
フォシーガの安全性と忍容性は、これまでに確認されている安全性プロファイルと一貫していた。
フォシーガ は、米国および欧州連合においても2 型糖尿病合併の有無に関わらず、CKD の治療薬として承認を取得しており、現在世界のその他の国においても審査が進行中である。 フォシーガは、2型糖尿病成人患者の血糖コントロールを改善する食事および運動療法の補助療法、および1型糖尿病 の成人患者さんに対するインスリンの補助療法を適応としている。
また、同剤は2型糖尿病合併の有無に関わらず、左室駆出率が低下した慢性心不全の成人患者の治療薬としても承認されている。
2013年、アストラゼネカの子会社であるアストラゼネカ株式会社は、フォシーガに関して、小野薬品と日本におけるコ・プロモーション契約を締結。同契約に基づき、小野薬品はフォシーガの日本における流通および販売を担い、アストラゼネカと2型糖尿病、1型糖尿病および慢性心不全においてコ・プロモーションを実施している。両社は、慢性腎臓病においてもコ・プロモーションを行う。
◆APA-CKD試験の日本の治験統括医師で日本腎臓学会理事長の柏原直樹氏のコメント
慢性腎臓病患者さんにおいて、2 型糖尿病合併の有無に関わらず、腎不全への移行抑制、心血管イベントおよび全死亡に対するダパグリフロジンの有効性が示された。慢性腎臓病患者さんを対象としたこれまでの試験の中でも画期的な試験であり、ランドマークとなるものである。
今回の承認は、日本の多くの慢性腎臓病患者さんにとって大きな希望となる。
◆アストラゼネカのバイオファーマ研究開発担当エグゼクティブバイスプレジデントのMene Pangalos氏のコメント
本承認は、慢性腎臓病の患者さんの予後を改善するという当社の目標の実現に向けた重要な一歩となった。当社は、フォシーガのような新薬によって標準治療を向上させるとともに、時に患者さんを衰弱させ、生命を脅かす慢性腎臓病の予防および早期診断にも取り組んでいる。