低分子で経口の新型コロナ治療薬 国内P1臨床試験開始  塩野義製薬

 塩野義製薬は26日、開発中の新型コロナ治療薬(開発番号:S-217622)について、経口投与の抗ウイルス薬として国内でP1臨床試験を開始し、22日に初回投与を行ったと発表した。現状、初回投与後の安全性上の懸念は確認されていないという。
 同治療薬は、塩野義製薬が創製した3CLプロテアーゼ阻害薬である。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、3CLプロテアーゼというウイルスの増殖に必須の酵素を有している。
 同治療薬は、3CLプロテアーゼを選択的に阻害することで、SARS-CoV-2の増殖を抑制する。
 SARS-CoV-2感染動物を用いた非臨床試験において、ウイルス量を速やかかつ有意に低下させることが確認されている。同臨床試験では、健康成人を対象に本治療薬服用時の体内動態、安全性、忍容性の確認を行う。
 COVID-19は、今なお蔓延しており、パンデミックの終息に向けて、各国で発症予防を目的としたワクチン接種が進んでいるが、接種後も感染や発症のリスクはある。
 また、新たな変異株が蔓延した場合、既存のワクチンの有効性や、当該変異株に有効なワクチンが迅速に開発・供給されるのかは不明である。
 そのため、ワクチンだけではなく、ウイルス感染者に対する治療法として、インフルエンザウイルス感染症と同様に、早期に使用することで体内のウイルス量を低下させ、重症化の抑制や臨床症状(発熱、呼吸器症状など)の改善が期待される抗ウイルス薬が求められている。
 特に、COVID-19は感染初期に無症候や軽症であっても、後に急速に症状が進行する症例が報告されているため、多くの感染患者に、安全かつ簡便に使用できる治療薬が必要とされている。
 塩野義製薬が開発する治療薬は、低分子の経口抗ウイルス薬であるため、こうした社会や医療現場のニーズに応えることが期待される。
 なお、同件が2022年3月期の連結業績予想に与える影響は、今後、状況に応じて精査する。

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