タニタは19日、「熱中症に関する意識・実態調査2021」の調査結果を公表した。ウィズコロナ時代において感染症と熱中症の予防対策の両立がより一層求められる中、今回の調査で特徴的だったのは、新型コロナワクチン接種後もマスクを着用しようと思う人が約8割となり、今夏もマスク着用時の熱中症を防ぐ正しい行動が求められていることだ。
また、熱中症の危険度を表す「暑さ指数(WBGT)」や環境省と気象庁が今年4月から全国で運用を開始した「熱中症警戒アラート」の認知は上がっているものの、実際に熱中症のリスクを判断する情報として活用している人は少ない実態が明らかになった。
同調査は、一昨年、昨年に続いて3回目の実施となるもので、全国の15歳以上の男女1000人を対象に、2021年6月29日―7月1日の3日間、インターネットリサーチにより調査した。
具体的には、「暑さ指数(WBGT)を知っているか」を聞いたところ、認知率は48.4%となり、2019年の42.0%、2020年の45.8%と年々上昇している傾向がみられた。
また、「熱中症警戒アラート」について知っているかの問いでは、認知率は63.0%と、半数を超える結果となった。
一方で、「熱中症にならないために気にしているもの」を聞いたところ、屋内・屋外ともに「気温」が最も多く、「暑さ指数(WBGT)」や「熱中症警戒アラート」を参考にしている人は全体の1割にとどまった。
熱中症の発生リスクは「気温」だけでなく、汗の蒸発に関係する「湿度」や、日射・照り返しなどの「輻射熱」も関係する。熱中症指数計で「暑さ指数(WBGT)」を確認し、発生リスクを正しく把握することが、熱中症予防の第一歩と言える。
ウィズコロナ時代における「新しい生活様式」では、基本的な感染症対策としてマスクの着用が挙げられている。新型コロナワクチン接種が進んでいるが、「ワクチン接種後もマスクを着用しようと思う」人は77.2%に上り、年代別でみると50代以上では8割を超えている。
ワクチン接種後も、引き続きマスクを着用して、感染症対策を徹底しようと考えている人が多いようだ。さらに、「猛暑日でもマスクを着用しようと思う」も昨年より8.4ポイント上昇しており、季節問わずマスク着用が習慣化されている様子がうかがえる。
そこで重要になるのが、熱中症予防との両立である。「適宜マスクをはずすこと」が熱中症予防のポイントの一つになるが、その認知率は昨年から10.7ポイントの大幅上昇となった。
屋外で人と2m以上の距離ではマスク外して熱中症を防止
環境省と厚生労働省は、屋外で人と2m以上離れているときは、熱中症を防ぐためにマスクをはずすことを推奨している。状況に応じてマスクを正しく使うことへの理解は進んでいると言えそうだ。今後はその実践と徹底が求められる。
在宅時のエアコン使用状況については、日中・夜間・就寝中の3つの時間帯ごとに聞いた。いずれの時間帯においても「室温は関係なく、暑いと感じたときに使用している」という回答が最も多くなった。自身が暑いと感じたときにエアコンの使用は大切だが、高齢者は暑さや寒さに対する感覚が鈍くなる。体感だけでなく、温度や湿度をチェックし、時間帯を問わず適切な室内環境を保つことが重要である。
さらに、使用状況を時間帯でみると、就寝時にエアコンを使用しない人が2割となり、特に60代以上の男性にその傾向が強いことがわかった。
他の設問で「熱中症にならない自信がある」と答えた人の割合が最も高かったのも60代以上の男性だ。熱中症は年齢に関係なく発生する。健康を過信し、「自分は大丈夫」と油断するのではなく、熱中症の発生リスクに対する正しい知識を身につけることが重要である。
タニタでは、熱中症指数計の製造・販売だけでなく、自治体と協働し住民に対する熱中症リスクの「見える化」や、啓発セミナーを行うなど、ハードとソフトの両面から熱中症予防に取り組んでいる。
熱中症は対策することで100%予防できる疾病といわれている。同社では、今後も、熱中症に関わる商品を展開するとともに、熱中症予防に関する様々な情報を発信することで、生活者の熱中症予防や健康づくりをサポートしていく。