小野薬品は11日、蛋白分解酵素阻害剤「フオイパン」について、無症状から中等症の新型コロナ感染症(COVID-19)患者を対象とした国内P3試験において、有効性が認められなかったと発表した。
同社が実施したプラセボを対照とした国P3試験において、主要評価項目であるSARS-CoV-2が陰性化するまでの期間を達成しなかった。
小野薬品は、フオイパンの有効性を示唆する基礎論文の報告およびヒト血中濃度の関係性を踏まえ、健康成人を対象に既承認用量を超えた用量での安全性確認のためにP1試験を実施し、その結果を踏まえて無症状から中等症のCOVID-19患者を対象としたP3試験を実施したもの。
同社は、製薬企業の責務としてCOVID-19治療薬の開発に取り組んできたが、今回の結果を受けて、COVID-19を対象としたフオイパンの開発を中止する。
同国内P3試験は、無症状から中等症のCOVID-19患者を対象にプラセボを対照とした多施設共同二重盲検無作為化並行群間比較試験で、フオイパン1回600mg(77名)又はプラセボ(76名)を1日4回、それぞれ最大14日間経口投与した。
主要評価項目はSARS-CoV-2が陰性化するまでの期間であった。
フオイパンは、小野薬品が創製した経口蛋白分解酵素阻害剤で、1985年に「慢性膵炎における急性症状の緩解」の効能・効果で製造販売承認を取得、1994年には「術後逆流性食道炎」の効能・効果も承認取得している。
なお、同剤の物質特許は1996年1月に満了している。