大鵬薬品は22日、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ配合錠T15・T20」について、同日、「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」に対する適応追加が承認されたと発表した。
今回の承認は、標準治療に不応または不耐となった切除不能進行・再発胃がん患者において同剤とプラセボを比較したP3相試験 (TAGS試験) の結果に基づいていたもの。
同試験において同剤は、主要評価項目の全生存期間(Overall Survival:OS)を有意に延長し、安全性にかかわる新たな所見は観察されなかった。
TAGS試験は、大鵬が主導した無作為割付・二重盲検の国際共同P3試験で、標準治療に不応または不耐となった切除不能進行・再発胃がん患者において同剤とベストサポーティブケア(BSC)、プラセボとBSCを比較した試験である。
同試験の主要評価項目はOS、副次評価項目は無増悪生存期間(Progression-Free Survival: PFS)、安全性と忍容性、QOL(Quality of Life)等。同試験は、切除不能進行・再発胃がんに対して少なくとも2レジメンの治療歴がある、18歳以上の500名を目標症例数とし、日米欧を含む世界17カ国110施設で507名の登録があった。
ロンサーフは、トリフルリジン(FTD)とチピラシル塩酸塩(TPI)を配合することで薬剤の効果を維持できるよう設計した経口のヌクレオシド系抗悪性腫瘍剤で、従来のフルオロピリミジンとは異なる作用機序を有している。
FTDはDNAの複製時にチミジンの代わりにDNA鎖に取り込まれ、DNAの機能障害を引き起こして抗腫瘍効果を発揮すると推測されている。TPI はFTDの分解に関与するチミジンホスホリラーゼ(TP)を阻害し、FTDの血中濃度を維持する。
ロンサーフは、日本では「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の適応症で大鵬薬品が2014年より販売。米国では大鵬薬品の米国子会社である大鵬オンコロジー社が切除不能進行・再発の結腸・直腸がん治療薬として2015年より販売している。
欧州・その他地域(北米・日本/アジアを除く)では、2015年にセルヴィエ社とライセンス契約を締結し、セルヴィエ社が同剤の共同開発と商業化を進めている。
日本以外のアジアでは、台湾においては、台湾東洋薬品が2018年より販売。韓国では、第一薬品が同剤の商業化に向けて準備を進めている。
ロンサーフは、2019年7月現在、進行・再発の結腸・直腸がん治療薬として、世界68カ国・地域で承認されている。また、2019年2月には米国で切除不能進行・再発胃がんの適応が承認された。ヨーロッパでは、2019年7月、医薬品委員会(CHMP)により、切除不能進行・再発胃がんの成人患者に対する単剤療法としての承認勧告を受領している。
CHMPの勧告は、その判断の採択のため欧州委員会に提出される。