武田薬品は16日、好酸球性食道炎の治療薬として特異的にデザインされ開発中のブデソニド経口懸濁液である TAK-721 について、FDAが新薬承認申請(NDA)を受理し、優先審査に指定したと発表した。
TAK-721 の開発プログラムは、申請に向けて米国で実施された好酸球性食道炎に対する最初かつ最大の臨床P3試験プログラムである。今回の新薬承認申請は、若年および成人(11~55 歳)の好酸球性食道炎患者を対象に、同剤の安全性および有効性を評価したピボタル臨床P相試験であるORBIT1 試験およびORBIT2試験から得られたデータに基づくもの。
承認された場合、TAK-721 は好酸球性食道炎の治療薬として初の FDA 承認となる見込みで、製品名は Eohiliaを予定している。FDAは、優先審査に指定しており、承認された場合、既存の治療法の安全性または有効性において大きな進歩をもたらす可能性を有する。TAK-721は、これまでに FDA からBreakthrough Therapy及OrphanDrugの両方の指定を受けている。
好酸球性食道炎は、食道に障害を引き起こす慢性炎症性疾患である。米国では約2000人に1人が罹患し、有病者数は増加している。正確な原因は明らかになってはいない。だが、好酸球性食道炎は遺伝的要因、環境的要因、および免疫系の機能障害が複雑に関与しているものと考えられている。好酸球性食道炎の慢性炎症は様々な症状を引き起こすことがあり、その症状は個人差や年齢によって異なるが、多くの場合は嚥下障害をきたす。未治療のまま経過した場合、好酸球性食道炎は時間の経過とともに悪化し、食道の障害や炎症を引き起こすケースがある。重症では、食道が狭窄して食物の嵌頓を引き起こす可能性がある。
武田薬品Gastroenterology Therapeutic Area Unit HeadのAsit Parikh氏 は、「大変長い間、好酸球性食道炎の慢性で局所的な食道の炎症に対して承認された治療薬がない状態であった」と紹介。その上で、「TAK-721 が食道の炎症に対処できる可能性を示したピボタルP3相試験のデータは大変興味深く、FDAと緊密に連携して、好酸球性食道炎に関する総合的な理解を更に深めて、新たな治療選択肢をお届けしたい」と述べている。