ビベグロン 過敏性腸症候群関連疼痛P2試験では有意差示せず  大日本住友製薬

 大日本住友製薬は25日、過活動膀胱を適応症としてFDAに申請中のビベグロンについて、過敏性腸症候群(IBS)に関連する疼痛を対象としたP2a 試験では統計学的に有意な改善を示されなかったと発表した。同社米国連結子会社のユーロバント社が24日(現地時間)に明らかにしたもの。
 同試験は、IBSに関連する腹痛を抱える222名の下痢型IBSおよび混合型IBS 女性患者を対象とした 12 週間の多施設共同、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照のP2a試験で、同剤75 ㎎を1日1回投与して評価した。
 同試験の結果、主要評価項目である下痢型 IBS 患者における腹痛改善効果のレスポンダーの割合は、本剤群 40.9%、プラセボ群 42.9%で、主要評価項目を達成できなかった。レスポンダーは、12 週の「直近 24 時間における最も重篤度の高い腹痛」の週平均について、ベースラインの週平均値と比較して、少なくとも30%減少した患者として定義された。
 最も重要な副次的評価項目である下痢型IBS患者における12週間後の症状の全般改善尺度(GIS: Global Improvement Scale)のレスポンダーの割合は、プラセボ群33.3%に対しビベグロン群は42.4%と改善傾向を示したが、統計学的に有意な改善を示さなかった。
 同試験においてビベグロンは良好な忍容性を示し、IBS の症状を悪化させず、有害事象による中止率は同剤群では0%、プラセボ群では2.7%であった。重篤な有害事象は同剤群で2 例、プラセボ群で1例報告されたが、治験責任医師は治療に関連しないと判断している。
 ユーロバント社は、同試験のすべてのデータセットの解析を継続して進めていく。
 ビベグロンは、1 日 1 回経口投与の低分子β3 アドレナリン受容体作動薬である。過活動膀胱(OAB)を対象とした12週間のP3試験(EMPOWUR 試験)において良好な結果を、40 週間の継続試験において長期の良好な有効性、安全性、忍容性を示している。OAB を適応症とした同剤の新薬承認申請は、本年3月にFDAに受理され、処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づくFDAの審査終了目標日は、本年12月26日である。同剤が承認された場合、米国において約10 年ぶりのOABの新薬として、治療選択肢の一つとなることが期待される。
 ビベグロンは、米国において、前立腺肥大症を伴うOABおよび過敏性腸症候群関連疼痛を対象にした開発も行われている。

タイトルとURLをコピーしました