武田薬品は27日、テデュグルチド(遺伝子組換え)について、短腸症候群(Short Bowel Syndrome:SBS)治療剤として、国内で製造販売承認申請を行ったと発表した。テデュグルチドはSBSを適応症として、すでに欧米30カ国以上で承認を取得している
今回の申請は、国内で実施された成人および小児を対象としたP3相試験、ならびに海外にて行われた試験結果に基づくもの。これらの試験において、同剤の有効性が認められ、安全性に大きな問題は見られなかった。
廣田直美武田薬品日本開発センター所長は、「本剤は、SBSという希少な疾病に対する治療薬として日本でも開発を進めてきた。腸管吸収機能の改善を促すことで、管理の難しい長期的な経静脈サポートからの離脱・軽減をはかり、SBS 患者や介護される方の生活の質(QOL)の向上を目指す」とコメントしている。
SBSは、極めてまれで重篤な慢性疾患であり、食事から十分な水分や栄養を吸収できず、生命を維持するために静脈栄養が必要となる。外傷やクローン病、塞栓症のような血管合併症等による小腸の大量切除や先天性の欠損をはじめとするさまざまな原疾患により SBSに至り、その病態も多岐にわたる。多くの患者では、腸管機能が順応していくが、中には生涯にわたり静脈栄養が必要となる患者もいる。
また、SBSは、合併症や死亡率、医療費などの問題とも関連している。静脈栄養は生命維持に不可欠である一方、SBSの病態や静脈栄養への依存は、患者の QOLを低下させ、感染症、敗血症、血栓症や腸管不全関連肝障害などの重篤な合併症につながる恐れがある。SBS 患者は、栄養失調、脱水、下痢、疲労、脱力などの多くの症状を抱えながら生活している。
SBSの有病率および罹患率は多くの国で明らかになっておらず、日本においても同様である。多くの推定値は、SBSのために長期的な在宅静脈栄養を要する患者数のデータに基づいている。