アストラゼネカは21日、タグリッソについて、早期EGFR遺伝子変異陽性肺がんの術後補助療法として米国で医薬品承認事項変更申請(sNDA)が受理され、優先審査品目に指定されたと発表した。
今回の効能追加は、治癒目的の腫瘍完全切除後の早期ステージ(ⅠB期、Ⅱ期およびⅢA期)上皮増殖因子受容体変異陽性(EGFRm)非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法を対象疾患とするもの。
NSCLC患者のおよそ30%は、治癒切除可能な早期ステージに診断される。だが、再発率は未だ高く、ステージⅠB期でも診断された患者の半数近く、ステージⅢA期では4分の3以上もの患者が5年以内に再発する。。
FDAは、既存の選択肢を大きく上回って安全性または有効性を向上させるか、重篤な病態を予防するか、服用コンプライアンスを向上させる医薬品の承認申請に対して、優先審査を行う。処方せん薬ユーザーフィー法(PDUFA:Prescription Drug User Fee Act)に基づく、タグリッソの追加承認申請のFDAの審査終了目標は、2021年の第1四半期である。
アストラゼネカのDave Fredricksonエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジービジネスユニット責任者は、「早期ステージのEGFRm肺がんは、手術および化学療法による術後補助療法を行っても再発リスクが依然として高く、予後を改善する新たな分子標的治療薬の開発が喫緊の課題であった」と説明。
その上で、「今回の優先審査品目への指定は、タグリッソによる術後補助療法が、無病生存期間(DFS)を顕著に延長できることを裏付けている。我々は、できるだけ早く患者に提供すべく、引き続きFDAと連携していく」とコメントしている。
今回のsNDAは、タグリッソが、主要評価項目であるⅡ期およびⅢA期のEGFRm NSCLC患者におけるDFS、ならびに副次評価項目の1つである全症例(ⅠB~ⅢA期)におけるDFSの、統計学的に有意で臨床的に意義のある延長を示したP3相試験(ADAURA試験)のデータに基づくもの。
なお、本年4月、独立データモニタリング委員会は、タグリッソが顕著な有効性を示したとして、ADAURA試験の非盲検化を予定より2年早めることを勧告している。被験者は試験を継続中であり、現在も盲検は維持されている。ADAURA試験のデータは、本年5月の米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会(バーチャル会議)のサイエンティフィックプログラムのプレナリーセッションで発表され、The New England Journal of Medicine誌に掲載された。
また、タグリッソは本年7月、米国において同適応で画期的治療薬指定を取得している。タグリッソは、局所進行性または転移性EGFRm NSCLCの一次治療薬、および局所進行性または転移性EGFR T790M変異陽性進行NSCLCの治療薬として、米国、日本、中国、欧州およびその他多くの国において承認されている。