小野薬品は19日、オプジーボについて、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)から、切除不能な進行、再発または転移性食道扁平上皮がんのセカンドライン治療薬として承認推奨を受けたと発表した。16日にブリストルマイヤーズスクイブ(BMS)が明らかにしたもの。今回、肯定的見解を得た対象疾患は、フルオロピリミジン系薬剤とプラチナ系薬剤の併用化学療法の治療歴を有する切除不能な進行、再発または転移性食道扁平上皮がん(ESCC)の成人患者。
CHMP の推奨は、今後、欧州連合(EU)で医薬品を承認する権限を持つ欧州委員会(EC)によって審査される。
CHMPの肯定的見解は、オプジーボ群が、化学療法群と比較して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間(OS)の改善および良好な安全性プロファイルを示したP3相ATTRACTION-3試験の結果に基づくもの。
同試験には、PD-L1 発現レベルにかかわらず、フルオロピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤による少なくとも1つの併用レジメンに不応または不耐の成人患者が組み入れられた。
現在までに、オプジーボは、切除不能な進行、再発または転移性 ESCC 患者のセカンドライン治療薬として、米国および日本を含む世界 5 カ国で承認されている。
BMS消化器がん領域開発責任者の Ian M. Waxman(M.D.)氏は、「CHMPの肯定的見解は、ATTRACTION-3試験と共に、EUの食道扁平上皮がん治療におけるオプジーボの可能性を示唆するものである」と明言。
その上で、「EUにおいて、免疫療法薬が上部消化管がんで初めて承認されることになり、ECの最終決定に期待を寄せている。今後も、食道がんのより初期のステージにおけるオプジーボのベネフィットの探索に注力していく」とコメントしている。
ATTRACTION-3 試験(ONO-4538-24/CA209-473;NCT02569242)は、フルオロピリミジン系薬剤とプラチナ系薬剤の併用療法によるファーストライン治療に不応または不耐の食道がん患者を対象に、オプジーボと化学療法(ドセタキセルまたはパクリタキセル)を比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検P3相臨床試験。
同試験には、主にアジアの患者が組み入れられ、その他に米国や欧州の患者も組み入れられている。患者は、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで投与を継続した。同試験の主要評価項目は、全生存期間(OS)である。
副次評価項目は、治験担当医師の評価による奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、病勢コントロール率、奏効期間および安全性。
12 カ月および 18 カ月生存率は、オプジーボ群でそれぞれ 47%(95% CI:40 – 54)および 31%(95% CI:24 – 37)で、化学療法群では 34%(95% CI:28 – 41)および 21%(95% CI:15 – 27)であった。
オプジーボによる生存ベネフィットは、腫瘍の PD-L1 発現レベルにかかわらず認められた。患者報告アウトカムの探索的解析では、化学療法群と比較して、オプジーボ群で生活の質の全体的な改善が有意に示された。
治療に関連する有害事象(TRAE)の発現数は、化学療法群よりもオプジーボ群で少なく、グレードを問わない TRAE の発現率は、オプジーボ群で 66%、化学療法群で 95%であった。
グレード 3~4の TRAE の発現率も、化学療法群よりオプジーボ群で低く(オプジーボ群 18% vs 化学療法群63%)、投与の中止につながる TRAE の発現率は、両群で同等であった(9%)。