アクセンチュア・AWSとの提携でデジタル変革加速  武田薬品

 武田薬品は14日、アクセンチュア(NYSE:ACN)およびAmazon関連会社である Amazon Web Services(AWS)と、武田薬品のデジタル変革の加速を目的に、5 年間の戦略的提携契約を締結したと発表した。
 同提携契約により武田薬品は、バリューチェーン全体を通じて収集された知見を活用し、より迅速かつ俊敏な対応によって、患者のみならず、医療従事者、従業員およびパートナー企業へのさらなる貢献を実現する。
 3社による長期的な提携を通じ、武田薬品はIT基盤の刷新やデータサービスの加速、イノベーション創出に向けた社内組織の変革や、従業員に新たなスキルの習得や働き方を許容する体制が整い、クラウド活用を前提とした事業変革を推進する。
 クリストフ・ウェバー武田薬品代表取締役社長 CEOは、「3社の力の結集により、当社は、人々の健康、テクノロジー、ビジネスの成長の融合を目指して果敢に行動する」と宣言。さらに、「私のビジョンは、今後10年以内に、当社の従業員全員が人工知能をより良い判断の手助けとなるように活用し、革新的な治療薬や体験をこれまで以上に迅速に患者や医師、医療費を支払う人たちに提供できるようになることである」と強調している。
 武田薬品は、クラウド活用を前提とした「クラウドファースト」のアプローチの採用により、不要なシステム構築作業を排除し、より高い拡張性と信頼性を担保した安全なITアーキテクチャの構築が可能になる。
 また、アプリケーションの80%をクラウドに移行することで、差別化をもたらさないテクノロジーや自社データセンターの削減を進め、支出の抑制を図る。
 同社は、データサービスおよびその活用力の強化を通じ、ライフサイエンス分野におけるエコシステムや外部パートナーとの連携を拡大する。例えば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する臨床研究を拡大するため、同提携では、COVID R&D Alliance 向けの安全なデータ共有および臨床試験推進プラットフォームをクラウド上に5 日足らずで構築した。クラウドを活用しなかった場合、このプラットフォームの立ち上げには最大3カ月が必要になる。
 加えて、希少かつ複雑な疾患に罹患する多くの患者さんのために極めて重要で生命を救う、あるいは生命を維持する治療薬を開発する武田薬品のPlasma-Derived Therapies Business Unit では、デジタルでつながった最先端の血漿収集センターの設立に向けて取り組んでおり、ドナーの方々の体験と血漿採取プロセスの最適化に取り組んでいる。
 武田薬品では、2024年までに血漿の採取能力と製造能力を 65%以上向上させる計画であり、患者にとって欠かせない医薬品の供給力の増強に向けて取り組むとともに、患者への新たな治療を加速させる。
 そのために、今後3年間でデータおよびデジタル領域の専門人材を新たに数百人採用する計画だ。かつてない人材層へのアプローチを行うほか、数千人にのぼる従業員のスキル向上を図り、データのさらなる活用力とデジタル化を推進する。

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