
日本新薬の中井亨社長は15日、2025年度決算説明会で会見し、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療薬「CAP-1002」(デラミオセル)の販売契約解除を巡る提携先のカプリコールからの訴訟(5月7日提起)について、「DMD患者さんに対する治療が遅れることのないよう、現契約の改定や販売準備に対して適切かつ真摯に対応しており、カプリコール社の主張は合理性を欠いたものと認識している」と明言。
その上で「患者さんやご家族のことを第一に考え、現在も販売準備を引きつづき行っている」と述べ、「今後もカプリコール社と対話を継続していく」考えを示した。
また、米国FDAが承認を見送ったムコ多糖症II型向け遺伝子治療薬「RGX-121」についても、「提携先のリジェネクスバイオ社が本年1月にFDAより臨床試験の実施保留命令を受けたが、その後解除された」と報告。さらに、「同社は2026年2月にFDAよりCRL(審査完了報告通知)を受領したが、その後申し立てを行っている」と述べ、「今後もリジェネクスバイオ社と緊密に連携しながら、今後のスケジュールを検討する」考えを示した。
デラミオセルの販売契約解除を巡る訴訟理由についてカプリコールは、「日本新薬の米国内での同剤上市に向けての現契約の改定対応や準備不足」を主張している。
これに対して現契約の改定対応について中井氏は、「価格設定に関する課題は1年前から認識されており、カプリコールとの間で契約修正の提案をしてきた」と話す。
具体的には、現契約における価格設定では、カプリコールから日本新薬の米国子会社「NSファーマ」への取引価格が保険償還価格(販売価格)になってしまうため、ビジネス的に医薬品提供ができなくなってしまうという課題があった。
こうした中、現契約内容で採用しているPLDモデルでは、当局への価格報告の主体がNSファーマにある。中井氏は「カプリコールは、デラミオセルは自分達が研究開発した製品なので、米国当局への価格報告も自ら行うべきと主張して共同商業化のスキームを提案し、契約修正には至らなかった」とこれまでの経緯を説明する。
その上で、「デラミオセルを日本新薬のものにしようという意図は全くない」と強調し、「開発・製造はカプリコール、販売はNSファーマの枠組みを守って進めて行く」考えを強調した。
米国市場での販売に向けた準備不足の指摘については、「我々は、ビルテプソ(DMD治療薬)の販売経験を5年以上持っている。カプリコールでなければ販売できないという主張は通らない」と退けた。
同訴訟の今後のスケジュールは、NSファーマが5月26日までに反対書面を提出し、カプリコールは6月2日までにその書面に対する答弁書の提出を行い、簡易差し止め請求審理を6月3日に行う。中井氏は、「我々は、差し止め命令を受けないように活動し、差し止め請求が却下された場合はデラミオセルを販売していく」と述べた。
一方、デラミオセルが販売できなくなった場合の2026年度の業績見込みへの影響にも言及し、「同剤は114億円の売上を見込んでおり、売上収益予想2000億円からその分が減収になる。営業利益380億円は、デラミオセルの販管費が取り除かれるため、そんなに大きな影響は出ないだろう」と予測した。
日本新薬の2025年度通期業績は、売上収益1707億7100万円(対前期比6.6%増)、営業利益354億9600万円(0.1%増)、税引前利益364億6200万円(0.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益297億2100万円(8.7%減)となった。
増収は、肺動脈性肺高血圧症・慢性血栓塞栓性肺高血圧症治療剤「ウプトラビ」(175億9300万円、対前年比17.5%増)の堅調な推移と同製品の海外売上に伴うロイヤリティ収入の増加や、てんかん発作治療剤「フィンテプラ」、前立腺癌治療剤「アーリーダ」伸長が寄与した。
2026年度の通期業績予想は、売上収益2000億円(17.1%増)、営業利益380億円(7.1%増)、税引前利益386億円(5.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益303億円(1.9%増)。
