米ビル・バイオテクノロジーとPSMA標的前立腺がん治療薬「VIR-5500」開発・商業化で提携 アステラス製薬

 アステラス製薬は24日、バイオ医薬品企業のビル・バイオテクノロジー社(Vir、本社:米国)と前立腺がん治療薬「VIR-5500」の開発・商業化に関するグローバルの戦略的提携を締結したと発表した。
 VIR-5500は、PSMA(前立腺特異的膜抗原)を標的としたPRO-XTEN二重マスキングCD3T細胞エンゲージャー(T-Cell Engager:TCE)である。同契約により、VIR-5500の開発を加速し、アステラス製薬のがん領域のパイプラインと、前立腺がんにおけるリーダーシップをさらに強化する。
 同契約に基づき、Virは3億3500万ドル(約522億円)を契約一時金および近い将来に支払われるマイルストンとして受け取ります。その中には2億4000万ドル(約312億円)の現金、50%のプレミアムIIによる7500万ドル(約117億円)の株式投資、および近い将来に支払われる2000万ドル(約31億円)のマイルストンが含まれる。
 両社は、VIR-5500のグローバルでの開発コストを60/40(アステラス製薬/Vir)で分配する。Virは、アステラス製薬へ権利が移行するまでの間は、進行中のP1試験を継続し、その後、アステラス製薬がVIR-5500に関するすべての開発活動をリードする。
 米国では、Virはアステラス製薬とVIR-5500を共同販促するオプションを有し、損益を両社で均等に分配する。米国以外では、アステラス製薬がVIR-5500の商業化の独占的権利を有し、売上に応じた2桁のロイヤルティをVirに支払う。
 さらに、Virは、開発、薬事申請、およびグローバルでの売上マイルストンに基づいて最大13億7000万ドル(約2136億円)を受け取る。Virとサノフィのライセンス契約の条件に基づき、同契約から得られる特定の収益の一部はサノフィに分配される。なお、同件によるアステラス製薬の通期(2026年3月期)連結業績への影響は軽微である。
 近年、治療の進歩は見られるものの、前立腺がん、特に転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)は、依然として病態の進行が早く、治療が困難ながんであり、5年生存率は約30%に留まっている。mCRPCへと進行した患者では、治療抵抗性が生じ、現在利用可能な治療選択肢は限られている。
 VIR-5500は、転移性前立腺がん患者を対象としたP1試験が進行中のベストインクラスとなる可能性のある二重マスキングPSMA標的TCEである。PSMAおよびCD3に結合する二重特異性TCE、およびPRO-XTENマスキング技術を組み合わせることで、腫瘍微小環境に到達するまでTCEがマスクされた(不活性)状態に保つように設計されており、オフターゲット効果を減少させ、治療指数を改善する可能性がある。

◆Adam Pearsonアステラス製薬の経営戦略担当CStO(Chief Strategy Officer)のコメント
 私たちは、これまでに150万人の前立腺がん患者さんを支援してきたことを誇りに思う。当社のR&D戦略に沿った今回の提携により、その支援をさらに拡大していきたいと考えている。
 前立腺がん領域における深い専門性に加え、TCEを含むバイオ医薬品を中心としたがん免疫パイプラインを拡充してきたことで、前立腺がん治療においてベストインクラスのTCEとなる可能性のあるVIR-5500の開発を推進できる独自のポジションを確立している。
 本戦略的提携により、アステラス製薬とVirは両社の専門性を結集し、前立腺がん患者さんに新たな『価値』を提供できると確信している。

◆Marianne De Backer Vir CEO and Directorのコメント
 アステラス製薬は、治療のあらゆる段階において革新的な治療法を成功裏に推進してきた実績、複数のブロックバスター製品を開発・商業化してきた経験、そして様々なバイオ医薬品企業との戦略的な提携を通じて患者さんに価値を届けてきたことから、VIR-5500の開発・商業化において理想的なパートナーである。
 本提携により私たちは、アステラス製薬の強力なグローバル開発力と販売力を活かし、VIR-5500のより迅速かつ広範な開発・商業化が可能になると確信している。今回の提携は、複数の幅広い固形がんに適応可能な私たちのPRO-XTENプラットフォームが高く評価された結果であると考えている。

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