深刻な状況にある真菌(カビ)の薬剤耐性問題と対応 たかはしクリニック院長 高橋嗣明

真菌(カビ)とは?

 真菌(しんきん)とは、カビ、酵母、キノコなどの総称で、生物学的には動物や植物とも異なる「菌界」に分類される生物群のことです。真菌はその形態から主に次の3つのグループに分けられます。
・カビ(糸状菌): 菌糸と呼ばれる糸状の細胞を伸ばして成長します。
・酵母: 主に単細胞で過ごし、パン作りやアルコール発酵に利用されます。
・キノコ: 胞子を作るために目に見える大きさの構造体(子実体)を作るカビの仲間です。
 人間の肌や腸内に存在するカビは糸状菌が主ですが、酵母やキノコの菌も発生します。水虫の多くは糸状菌でカンジダ類、白癬菌が多く検出されますが、ほかの糸状菌も発生します。
 生物学的な特徴として、
①真菌は真核生物であり、細菌(原核生物)とは異なり、ヒトと同じように細胞内に「核」やミトコンドリアを持っています。
②植物と同じように細胞壁を持ちますが、成分は植物と異なり、主にキチンなどから構成されています。
③地球上には推定150万種以上が存在すると考えられており、非常に多様な生物群です。
 真菌が体に感染して起こる疾患を真菌症と呼び、大きく2つに分類されます。 一つは、表在性真菌症で、皮膚や爪の表面に感染するものです。代表例は白癬(水虫)や皮膚カンジダ症(口腔内カンジダ・膣カンジダ・腸カンジダなど)、マラセチア毛嚢炎、癜風などがあります。
 もう一つは、深在性真菌症です。この疾患は、肺や血液など、体の内部で増殖するもので、アスペルギルス、カンジダ、クリプトコッカスなどが主な原因となり、免疫力が低下している場合に重症化しやすいのが特徴です。
 表在性真菌症や深在性真菌症として発生するそれぞれの真菌は、臨床の現場では深在性に発生したものが表在性にも存在することが比較的多いとされています。

医療現場の現状を嘆く

 ここ数年、皮膚科の患者さんの診察をしていると難治性の皮膚疾患の多くに真菌感染が存在していることに気付きます。また、皮膚の組織を顕微鏡の検査に提出しても真菌を同定できることは極めて少ないため、この組織を培養して真菌を同定する必要があります。
 それでも100%見つかるわけではないのです。その他の検査方法もいくつかありますが全てを保険内で行うことは現実的ではありません。加えて、検査結果が出るまで培養検査などでは1か月ほどかかります。
 よって皮膚科医は患者さんの皮膚所見で「真菌感染の可能性が高い」ことを見極める必要があります。しかしながら残念なことに、現実は開業以来、他の皮膚科での治療はそのほとんどが「ステロイド+保湿剤」なのです。
 そのため、患者さんは「薬を塗ると赤みと痒みは良くなるけど塗らないと元に戻る」と訴え受診されます。こうした患者さんの皮膚を注意深く観察すると、ほとんどの場合、各種真菌に特徴的な所見を認めます。
 ステロイド剤の長期使用は皮膚表面の免疫が低下して真菌にとって、かえって住みやすい環境が作られます。漫然とした治療を続けられた患者さんには気の毒なことですが、ほぼ毎日こうした患者さんを複数診てきました。1日2人でもこの13年間で6,500人の同様な患者さんを診てきたことになります。これが現実なのです。
 それでも稀に抗真菌薬を処方されているが「治らないので真菌ではなさそう」と診断された方もたくさん診てきました。これは昨今の薬剤耐性(薬が効かない真菌:カビ)の増加を理解されていない医師からの発言と言えます。

WHOからの報告(2025年4月)

 WHOが2025年4月に公表した2つの報告書は、侵襲性真菌症(IFD)に対する抗真菌薬及び診断ツールの著しい不足を指摘し、世界的な公衆衛生上の深刻な課題として警鐘を鳴らしています。
 真菌感染症は特に免疫力が低下した患者にとって命に関わる疾患であり、薬剤耐性真菌の出現が問題をさらに深刻化させています。新規抗真菌薬の開発は進んでいるものの、その数は限られており、既存薬には副作用や薬物相互作用などの課題も多く、革新的な治療法の開発が急務とされています。
 診断面でも、特に低中所得国(LMICs)では高度な検査体制が整っておらず、患者が適切な診断と治療を受けることが困難な状況です。特に薬剤耐性が強く、もっとも薬剤が効かない真菌では94%効果がありません。
 薬剤耐性が著明に多い最重要真菌は、①クリプトコッカス・ネオフォルマンス、②カンジダ・アウリス、③アスペルギルス・フミガーツス、④カンジダ・アルビカンスの4種類です。
 また、薬剤耐性が高い7種は、①カンジダ・トロピカリス、②カンジダ・パラプシローシス、③ムコール菌、④ヒストプラズマ菌他3種です。
 これまでお話しした現況を簡単にまとめますと、①診断の問題・薬剤耐性菌の著しい増加・抗真菌薬の重大副作用(肝機能障害・腎機能障害・味覚障害など)、②他の薬との相互作用(出血リスクの増加・腎毒性増強・血圧低下など)に全く対応できていない状況が全世界的な規模で存在しているということです。

真菌薬剤耐性が拡大した背景

 こうした問題は、① 薬剤の不適切な使用(過剰処方やステロイドとの併用)、② 治療期間の不足、③ 耐性菌自体の進化などが原因で増加傾向が要因となっています。
 多剤薬剤耐性の真菌の報告は、新型コロナウイルスが流行した数年前に日本で見つかり、その後に同時期で全世界的に起きている事実であることが発表されました。一部の専門家の間では5Gなどの通信の発達に伴い、電磁波の影響にてウイルスだけでなく真菌の遺伝子も何らかの影響を受けているのではないかとも言われていますが、まだ確定はできていません。

 私が考える日本人にアトピー性皮膚炎が諸外国に比べてとても多い理由は、次の通りです。
・真菌感染を含む皮膚炎の適切な治療が行えていない。(ステロイドの長期使用と薬剤耐性菌の増加の問題も含む)
・肌に影響を及ぼす食品(急性型アレルギーを含まない)が遺伝的な臓器体質によって異なる事実を医者が知らない。(八体質医学で診断:消化管に炎症性の物質を発生させて腸内環境を乱す食品が個々に異なること)
・分解・排泄しにくい人工の食品添加物が多い。
・免疫に重大に関与する電磁波対策が出来ていない。
・腸内に真菌が増えやすい環境にある。(高温多湿、発酵食品文化、腸内が酸性に傾きやすい食品が多いこと、甘いものをよく食べる習慣などの影響)
・野外活動が少なくビタミンD3の血中濃度が低い人が多い。(検査は25OH-ビタミンD検査)
 以上が私の治療結果から予測されるものです。

真菌感染に対する実践的な対応

 真菌の対応では、医者の治療を鵜呑みにせず、自分と同じ肌所見を検索して真菌の可能性を判断したり、医者に相談して抗真菌薬を試すことも重要です。
 また、保険適用の治療薬以外にも、第2類医薬品などの一般用医薬品(医者の処方するものではない治療薬)を医師に相談のうえ検討する選択肢があります。
 当院では、状況に応じて、市販のナマコ由来の抗真菌成分「ホロトキシン」を含む一般用医薬品(例:ホロスリン製薬の製品など)を参考提案しています。これらは表在性真菌症向けの治療ですので、必ず医師にご相談ください。
 肌に真菌(カビ)が付く要因を鑑みると、外からの影響では生活環境を見直します。腸内環境からの影響(これが多い)では、食事における注意が必要で、肌の症状が改善するまで甘いもの・発酵食品・キノコ類・酸性に傾きやすい食品・飲酒などの禁止が重要となります。

最後に

 現代医療の多くは原因治療ではなく、その場しのぎの対症療法になっているのが現状です。本来は、その病態がなぜ起こっているのか(ここでは真菌感染の原因)を考え、対応する必要があります。薬剤に助けられることも事実ですが、次世代の医療は緊急時の医療は医師に頼り、慢性的な問題は薬剤だけに依存することからの脱却だと考えています。「患者さん自らその原因を学び、知識を得て実践し根本的に治す!」ことが重要です。このような医療への変換が急務になってきていると感じます。

◆たかはしクリニック 院長高橋嗣明プロフィール

 1963年生まれ。東京都出身。医学博士、北里大学医学部卒業(専門は形成外科)、北里大学大学院・医療系研究科卒業(研究は東京大学の再生医療の講座でヒト軟骨細胞の培養研究)。
 2005年より長野県在住、2013年長野県中野市で、たかはしクリニック開業。
 現在、オーソモレキュラー療法、漢方治療、八体質医学、MATRIX療法、解毒治療、エネルギー医学の治療などで根本治療に取り組む。

著書:
新型コロナワクチン後遺症の早期改善が叶う薬物を用いない治療方法
学校にいけない子供 仕事に行けない大人

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