動物実験代替で機械学習活用眼刺激性評価の高精度新規モデル開発 ロート製薬

 ロート製薬は24日、動物実験代替法として、眼刺激性試験 (STE試験法)のin vitro試験データを用いて、化学物質の眼刺激性を化学構造情報のみから予測するin silicoモデルの新たなプロセスを開発したと発表した
 同社では、動物実験を行わない化粧品(薬用化粧品等を含む)の製品開発を進めている。その一環として、名古屋市立大学データサイエンス研究科安部研究室、薬学研究科医薬品安全性評価学分野との共同研究により、難溶性物質の眼刺激性評価における in silico予測モデル開発を進めてきた。その結果、化学物質の化学構造情報のみから眼刺激性を予測可能とする新たなモデルの構築に成功し、さらに今回眼刺激性の区分判定に対するより詳細な判別を可能とする新規モデルを開発した。これらの研究成果は、日本動物実験代替法学会第 38 回大会(2025 年 11 月1日~11 月 3 日開催)で発表された。
  眼刺激性評価において、経済協力開発機構(OECD)テストガイドラインに基づくin vitro代替法試験法は、一定の有効性を示す一方で、難溶性物質など適用できない化学物質が存在するという課題があった。その課題に対し、機械学習を活用した in silico モデルは、既存データと化学構造情報を活用して毒性を予測できる手法として国際的に期待が高まっている分野だ。

 これまで共同研究では、Draize 試験の動物実験代替法としてガイドライン化されたSTE 試験法の in vitro試験データを用い、化学物質の構造情報や物性値等から、眼刺激性を予測するモデルの開発を進めてきたが、今回、新たに区分1と区分外の双方を高精度に予測できるモデルの構築に取り組んだ。
 具体的には、STE試験から得られた毒性分類(GHS 分類)との一致性を基に、勾配ブースティング決定木系のアルゴリズムを用いた機械学習により、区分1モデルの 5%及び 0.05%濃度溶液、並びに、区分外モデルの 5%及び 0.05%濃度溶液のそれぞれのin silicoモデルを作成した。
 その性能を評価した結果、in vivo、in vitro、in silico 各々の間で評価結果がほぼ等しく、高精度な予測モデルの開発に成功した。
 同モデルは、化学物質の化学構造情報のみを用いて STE試験を予測することが可能である。このシステムの活用により、難溶性物質や合成が困難な化学物質の安全性確認のみならず、眼科用成分の候補選定や誤使用時の化粧品の危険性評価への応用が期待される。

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