先天性血栓性血小板減少性紫斑病の酵素補充療法薬TAK-755 P3試験で好結果 武田薬品

 武田薬品は、先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)の酵素補充療法薬TAK-755について、標準治療と比較したP3試験において良好な有効性および安全性が示されたことを明らかにした。
 良好な結果は、主要なP3試験において、事前に計画した中間解析より得られた包括的なエビデンスにより確認されたもの。同社では、cTTP治療のための初のADAMTS13補充療法薬としてTAK-755の製造販売承認申請を予定している。
 cTTPは、ADAMTS13プロテアーゼの欠乏により生じる希少な慢性かつ消耗性の血液凝固障害である血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の超希少なサブタイプである。
 未治療のまま経過した場合、急性TTPの死亡率は90%を超える。同試験は、複数の臨床的に関連のある評価項目を用いて、有効性、薬物動態、安全性および忍容性データから示される包括的エビデンスに基づいて、TAK-755の臨床効果を評価するよう設計された。
 このアプローチについては、各国の規制当局と協議を行った。同試験では無作為化クロスオーバー法において、TAK-755を現在の標準治療(SoC)である血漿製剤を用いた治療と比較して評価した。
 中間成績から、TAK-755がSoCと比較してcTTPの重要な疾患活動性マーカーである血小板減少症事象の発現率を60%(95%信頼区間:30%~70%)低減させることが示された。
 また、治療と関連性がある有害事象が発現した被験者の割合は、SoCを受けている被験者(47.7%)と比較して、TAK-755が投与された被験者(8.9%)で実質的に低い結果であった。
 P3試験の中間解析から得られたこれらのデータに基づき武田薬品は、患者のアンメットニーズが大きいcTTPに対する初の遺伝子組換えADAMTS13(rADAMTS13)補充療法薬としてTAK-755の製造販売承認申請を目指している。
 また、今後の学会でこの中間解析の結果を発表する予定である。これらの結果公表に加え、New England Journal of Medicine(NEJM)2022年12月22日号には、2つの症例報告が掲載された。
 この症例報告は、2名の医師が執筆、投稿したもので、医師らはcTTPとの関係が認められる重大な合併症に直面している患者を治療するために、TAK-755の人道的使用を要請した。同症例報告はNEJMのウェブサイトで閲覧できる。
 TAK-755については、後天性(免疫性)TTP(iTTP)に対するrADAMTS13の薬物動態、安全性および有効性を評価する臨床第2相試験も実施中である。
 なお、同P3試験の中間解析の結果が、武田薬品の2023年3月期(2022年度)の通期の連結業績予想に及ぼす影響はない。

◆ダニエル・カラン武田薬品希少遺伝子疾患および血液疾患領域ヘッド(M.D.)のコメント
 当社は、現在までに疾患管理を可能とする承認された治療薬がないcTTPの患者さんに対し、治療選択肢を提供できるよう取り組んでいる。本試験結果は、大変喜ばしいものであり、当社は患者さんにTAK-755を可能な限り早くお届けするために世界中の規制当局との連携を続けていく。

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