イミフィンジ 米FDAが早期胃がん・食道胃接合部がん周術期免疫療法で承認 アストラゼネカ

 アストラゼネカは、イミフィンジ(デュルバルマブ)について、米国FDAが標準治療であるFLOT化学療法(フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ドセタキセル)との併用により、早期胃がんおよび食道胃接合部がんの周術期免疫療法として承認したと発表した。
 対象は、切除可能な早期および局所進行(ステージII、III、IVA)の胃がんおよび食道胃接合部(GEJ)がん。承認レジメンは、イミフィンジと化学療法の術前補助療法を行い、その後、イミフィンジと化学療法の術後補助療法、続くイミフィンジの単剤療法を含む。
 同承認はFDAによる優先審査に続くもので、P3相MATTERHORN試験の無イベント生存期間(EFS)および全生存期間(OS)のデータに基づくもの。
 計画された中間解析において、イミフィンジをベースとする周術期レジメンで治療された患者は、化学療法単独群に対して、病勢進行、再発、または死亡のリスクを29%低下させた(EFSハザード比[HR]0.71;95%信頼区間[CI]0.58-0.86; p<0.001)。
 EFS中央値の推定値は、対照群の32.8カ月に対し、イミフィンジをベースとする周術期レジメン群では未到達であった。また、1年経過時点で無イベントだった割合は、対照群では推定74.0%だったのに対し、イミフィンジをベースとする周術期レジメンで治療された患者では推定78.2%、24カ月時点のEFS推定値はそれぞれ58.5%、67.4%であった。
 最終OS解析において、イミフィンジとFLOT併用の周術期レジメンは化学療法単独と比較して死亡リスクを22%低下させた(ハザード比[HR]0.78;95%信頼区間[CI]0.63-0.96; p=0.021)。
 イミフィンジをベースとするレジメンで治療された患者さんの3年生存率は、FLOT単独群の62%と比較して、推定69%であった。追跡期間の延長に伴い、OS曲線の分離が継続し、イミフィンジを基盤とするレジメンの利益が時間とともに増大することが示唆された。OSの利益はPD-L1ステータスにかかわらず認められた。
 イミフィンジおよびFLOT化学療法の安全性プロファイルは、それぞれの既知のプロファイルと整合しており、手術完了率は化学療法単独と同程度であった。原因を問わないグレード3以上の有害事象の発現率は両群で同程度であった(イミフィンジ+FLOT群71.6%、FLOT単独群71.2%)。
 胃がんは世界でがんによる死因の中では5番目に多いがんであり、毎年約100万人が診断されている。2024年には、米国において早期および局所進行の胃がんまたはGEJがんの薬物治療を受けている患者さんは約6500人であった。
 米国での承認申請は、がん治療薬の国際的な同時申請・審査の枠組みを提供するProject Orbisの下で審査された。Project Orbisの一環として、イミフィンジ+FLOTの周術期レジメンは同一適応について、オーストラリア、カナダ、スイスの規制当局においても審査中。欧州連合(EU)、日本およびその他の複数の国でも規制当局への申請が審査中である。

◆Dave Fredricksonアストラゼネカエグゼクティブ・バイスプレジデント兼オンコロジー・ヘマトロジービジネスユニット責任者のコメント
 この承認は、早期の胃がんおよび食道胃接合部がんの患者さんに対して新たな臨床パラダイムをもたらすもので、イミフィンジとFLOTの併用による生存ベネフィットが時間経過とともに増大することが示された。周術期におけるイミフィンジベースのレジメンとして米国で3件目の承認であり、この承認は周術期アプローチの有効性を改めて裏付け、早期がんに革新的治療を届けることで治癒を目指す当社の取り組みを強調するものだ。

◆MATTERHORN試験治験責任医師のYelena Y. Janjigian氏(Sloan Kettering記念がんセンター消化器腫瘍内科主任担当医)のコメント
 今回の承認は、胃がんおよび食道胃接合部がんの術前療法において、初めて承認された免疫療法レジメンであり、デュルバルマブによる明確な全生存期間のベネフィットが示され、早期疾患治療の新たなチャプターが切り開かれた。デュルバルマブをベースとする周術期レジメンによる治療後、約7割の患者さんが3年時点でも生存していた。この生存ベネフィットはPD-L1ステータスに関係なく認められ、治癒を目的とした本適応症における新たな標準治療を確立するものである。

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