
大阪医科薬科大学と帝人、福井経編興業と共同で開発し、帝人メディカルテクノロジーが製造販売する心・血管修復パッチ「シンフォリウム」が、第9回バイオインダストリー大賞において「特別賞」を受賞した。
同賞は、バイオインダストリーに関する業績が幅広く認知され、その重要性への理解が深まることによる研究開発の一層の促進を目的としてバイオインダストリー協会が開催しているもの。中でも「特別賞」は、バイオインダストリーの発展のために新しい分野を拓き、卓越した新たな価値を創出した業績に対して授与される。
今回、受賞対象となった業績は「In situ組織再生を実現する心・血管修復パッチの開発と実用化」だ。小児用医療機器の開発という難しい課題に対して、大阪医科薬科大学のアカデミアとしての解決アイデア、福井経編興業の革新的な繊維加工技術、帝人の製品開発力を結集して心・血管修復パッチ「シンフォリウム」を創出。現在は、国内で200名以上の患者に使用されており、さらには海外展開も進めている日本発イノベーションであることが高く評価された。

心・血管修復パッチ「シンフォリウム」は、先天性心疾患の手術で使用される医療機器だ。吸収性の糸と非吸収性の糸で編んだ特殊な構造のニットに、吸収性の架橋ゼラチン膜を一体化させている。
手術によって心臓や血管に縫着された後に、まず架橋ゼラチン膜が、次に吸収性の糸が徐々に分解されながら、非吸収性の糸を含むように自己の組織が形成されることで、先天性心疾患の外科手術後に生じる材料の劣化や、身体の成長に伴うサイズのミスマッチといった課題の解決が期待されている。
今後も3者は、未解決の医療課題の解決に向けて、それぞれの技術や知見を持ち寄りながら、心・血管修復パッチ「シンフォリウム」のプレゼンス向上と、新たな医療機器の開発を通じて、社会へのさらなる貢献を目指していく。

