アステラス製薬は25日、ファイザーと共同で開発を進めている抗体-薬物複合体(ADC)「PADCEVTM」(一般名:エンホルツマブ ベドチン、遺伝子組換え)とキイトルーダの併用療法について、筋層浸潤性膀胱がんを対象とした適応追加承認を米国FDAから取得したと発表した。
併用療法は、PADCEVTMとPD-1阻害剤「キイトルーダ」またはキイトルーダQLEX(キイトルーダ+ベラヒアルロニダーゼ アルファ-pmph)の組み合わせ。対象は、シスプラチンを用いた化学療法に不適応の筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)患者における術前術後の補助療法。
今回の承認は、P3相EV-303試験(KEYNOTE-905試験)結果に基づくもの。EV-303試験の結果は、2025年欧州臨床腫瘍学会で発表された。
EV-303試験において、無イベント生存期間(EFS)に関して、併用療法群は手術単独群と比較して腫瘍の再発、病勢進行または死亡のリスクを60%減少させ(ハザード比[Hazard Ratio:HR]=0.40, 95%信頼区間[Confidence Interval:CI]:0.28-0.57; P<0.0001)、主要評価項目を達成した。
イベントが発生しなかった割合は、併用療法群が74.7%であったのに対し、手術単独群では39.4%であった。併用療法群のEFSは中央値には到達しなかった。手術単独群のEFSの中央値は15.7ヶ月であった。
主要な副次評価項目である全生存期間(OS)に関しては、併用療法群は手術単独群と比較して死亡リスクが50%減少した(HR=0.50, 95% CI:0.33-0.74; P=0.0002)。2年後の生存率は、併用療法群が79.7%であったのに対し、手術単独群では63.1%であった。併用療法群はOSの中央値には到達しなかった。手術単独群のOSの中央値は41.7ヶ月であった。
EV-303試験における併用療法群の安全性は、以前に報告した試験と同様の結果で、新たな安全性上の問題は確認されなかった。
併用療法群における、検査値異常を含む最も一般的(20%以上)な有害事象(AE)は、血糖値上昇、ヘモグロビン減少、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ上昇、発疹、アラニンアミノトランスフェラーゼ上昇、疲労、掻痒(かゆみ)、クレアチニン上昇、ナトリウム減少、リンパ球減少、末梢神経障害、カリウム上昇、脱毛、味覚不全、下痢、食欲減退、便秘、吐き気、リン酸塩減少、尿路感染症、ドライアイ、体重減少。原因を問わないグレード3以上のAEの発生率は、併用療法群が71.3%、手術単独群では45.9%であった。
現在、シスプラチンを用いた化学療法に適応のあるMIBC患者において、周術期のPADCEVとキイトルーダの併用療法を評価するP3相EV-304試験(KEYNOTE-B15試験)が進行中である。
なお、同件によるアステラス製薬の通期(2026年3月期)連結業績への影響は織り込み済みである。
