MSDは29日、21価肺炎球菌結合型ワクチン(無毒性変異ジフテリア毒素結合体)「キャップバックス」を新発売したと発表した。
「キャップバックス」は、成人の肺炎球菌感染症予防に特化して設計された肺炎球菌結合型ワクチンだ。「高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる成人における肺炎球菌による感染症の予防」を効能・効果として、2025年8月8日に製造販売承認を取得した。
肺炎は、日本人の死因の第5位で、肺炎で亡くなる方の97.8%は65歳以上の高齢者が占めている。肺炎球菌は、日常でかかる肺炎(市中肺炎)の病原微生物のなかで最も多い細菌である。
肺炎球菌が原因となる感染症のなかでも重篤なのが、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)だ。IPDは本来、無菌である髄液または血液等から肺炎球菌が検出される感染症で、予後が悪く、発症した成人の22.1%が亡くなり、8.7%に後遺症が残ったという報告がある。
肺炎球菌には、100種類以上の血清型があるが、「キャップバックス」は、2024年のデータでは、日本人成人の市中肺炎の原因となる血清型の71.9%、IPDでは80.3%に対応している。「キャップバックス」は従来のワクチンに比べて多くの血清型をカバーすることで肺炎球菌感染症予防がさらに進むことが期待できる。
「キャップバックス」は米国では優先審査品目として、2024年6月に米国FDAの承認を取得しており、同月、米国疾病予防管理センター(CDC)の予防接種諮問委員会(ACIP)では全会一致で、成人の肺炎球菌感染症予防に使用するワクチンとして推奨が決定した。
2024年11月にはカナダの予防接種に関する国家諮問委員会(NACI)で成人の肺炎球菌予防接種プログラムに使用する推奨ワクチンに決定した。また、2025年3月には欧州委員会(EC)で承認されている。
◆プラシャント・ニカムMSD代表取締役社長のコメント
本日、発売にいたったキャップバックスは、当社が長年にわたって蓄積してきた肺炎球菌感染症に対する深い理解と知見に基づいて開発された。成人に特化して設計されたキャップバックスは、成人におけるIPDの大半の原因血清型に対応しており、この新たな予防の選択肢を日本の人々に提供できることを誇りに思う。

