ラジカヴァの経口懸濁剤「エダラボン」 スイス当局がALSで承認申請受理 田辺三菱製薬

 田辺三菱製薬は25日、ラジカヴァの経口懸濁剤「エダラボン」(MT-1186)について、ALS(筋萎縮性側索硬化症)を適応症とする承認申請をスイス当局(Swissmedic)が19日に受理しと発表した。同承認申請は、田辺三菱製薬の連結子会社のミツビシ タナベ ファーマ ゲーエムベーハー(Mitsubishi Tanabe Pharma GmbH)が実施したもの。
 MT-1186は、ALS治療薬であるエダラボン点滴静注製剤(スイス製品名:ラジカヴァ、日本製品名:ラジカット)と同一有効成分を含む経口懸濁剤。
 今回、安全性および忍容性を評価するグローバルP3試験(MT-1186-A01)の24週間のデータと、経口懸濁剤と注射剤の薬物動態を比較する臨床薬理試験(MT-1186-J03)の結果を合わせて承認申請した。
 ALSは、運動神経が選択的に変性・脱落し、四肢、顔、呼吸筋等の全身の筋力低下と筋萎縮が進行的に起こる原因不明の神経変性疾患。人種や民族的背景に関連なく、発病率は10万人に2人程度と言われており、スイスのALS患者数は、約500人と推定されている。
 現在、エダラボンの投与経路は点滴静注に限られている。田辺三菱製薬グループは、注射による痛みや投与のための通院など、ALS患者の負担軽減のため、経口懸濁剤を新たなALS治療の選択肢として提供できるように尽力している。
 MT-1186については、スイスのみならず、米国では2022年1月にFDAにより申請受理、日本でも同年3月に申請をおこなうなど、各国薬事規制当局への対応を引き続き速やかに行っていく。
 MT-1186は、ALS患者を対象に、田辺三菱製薬開発子会社のミツビシ タナベ ファーマ ディベロップメント アメリカ(Mitsubishi Tanabe Pharma Development America, Inc.)が開発中のエダラボン経口懸濁剤である。
 2019年10月にFDAよりファストトラック指定を受けている。なお、現在実施中のMT-1186-A03試験は、MT-1186-A01試験を完了された患者を対象とした最長96週投与の継続試験である。MT-1186-A01およびMT-1186-A03試験を合わせると、最長144週間のデータが得られる。
 エダラボンは、田辺三菱製薬が創製したフリーラジカル消去剤で、脳梗塞急性期の治療薬として、2001年4月に厚労省から承認され、国内ではラジカットの製品名で販売されている。
 ALSの適応症については、2015年6月に日本、同年12月に韓国、2017年5月に米国、2018年10月にカナダ、2019年1月にスイスなど、現在9か国で承認されている。
 また、 ミツビシ タナベ ファーマ ゲーエムベーハーは、ミツビシ タナベ ファーマ ヨーロッパ(英国ロンドン)の販売子会社として、2003年にドイツ デュッセルドルフに設立された。スイスにおける販売拠点では、ラジカヴァだけでなく、トロンビン抑制剤であるアルガトラのマーケティングにも注力している。

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