ビムセルチニブ P3試験2年間追跡結果で一貫した持続的抗腫瘍効果確認 小野薬品

 小野薬品は18日、同社完全子会社のデサイフェラが開発中の「ビムセルチニブ」について、グローバルP3相MOTION試験の2年間の有効性および安全性結果において、一貫性ある持続的な抗腫瘍効果が示され、新たな安全性上の懸念は認められなかったと発表した。
 今回の長期成績は、ビムセルチニブが承認されている国や地域では、臨床的に重要な身体機能の低下を伴い、外科的治療による効果が期待できない、あるいは外科的治療によって耐え難い症状や障害が生じる可能性のある患者に対する腱滑膜巨細胞腫(TGCT)治療の選択肢としてビムセルチニブを支持するものだ。
 同試験結果は、10月17日から21日の5日間、ドイツ・ベルリンで開催される欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で公表された。
 MOTION試験(NCT05059262)は、手術不適応のTGCT患者を対象にビムセルチニブの有効性と安全性評価を目的に実施したもの。
 同試験は2つのPartで構成されている。Part1では、この試験で対象となる患者がビムセルチニブまたはプラセボのいずれかを24週間投与された。Part2は非盲検下の長期投与フェーズとして実施され、Part1でプラセボに割り付けられた患者を含め、すべての患者でビムセルチニブが投与された。
 全期間を通じて、患者はビムセルチニブ30mgを週2回投与された。客観的奏効率(ORR)は、固形がんの治療効果判定のためのガイドライン(RECIST v1.1)および腫瘍体積スコア(TVS)を用いた独立画像判定(IRR)により評価された。奏効期間(DOR)および安全性も評価された。
 P3相MOTION試験の2年間の結果において、ビムセルチニブは、一貫性のある持続的な抗腫瘍効果を示し、安全性プロファイルは管理可能であり、これまでの報告されたものと一貫していた。
 同結果は、Part1でvimseltinib投与群に割り付けられた患者およびPart2でプラセボからvimseltinib投与に切り替えられた患者を対象に実施した2年間の追跡調査に基づき報告されている。同解析のデータカットオフ日は2025年2月22日である。
 合計118人の患者がvビムセルチニブの投与を受けた。データカットオフ時点で、51%(60/118)の患者が治療を継続しており、少なくとも2年間の追跡調査の結果、Part2でビムセルチニブに切り替えられた患者を含め、RECIST v1.1およびTVSの評価において、ビムセルチニブは次のような一貫性のある持続的な抗腫瘍効果を示した。

・Part1でビムセルチニブに割り付けされた83人の患者のうち、73人がPart2の非盲検下でも治療を継続した。このグループの治療期間の中央値は23.6ヶ月(2~36ヶ月)であった。

・Part1でプラセボに割り付けされた40人の患者のうち、35人がPart2でビムセルチニブが投与された。このグループの治療期間の中央値は19.1ヶ月(1~30ヶ月)であった。

・RECIST v1.1による試験中のORRは、ビムセルチニブ割り付けされた患者で48%(40/83)、プラセボからvimseltinibが投与された患者で54%(19/35)であった。
 TVSによる試験中のORRは、ビムセルチニブに割り付けされた患者で81%(67/83)、プラセボからビムセルチニブに切り替えた患者で71%(25/35)であった。

・RECIST v1.1およびTVSによるDORの中央値は、いずれも未到達であった。

 安全性は、ムセルチニブはこれまでに報告された管理可能な安全性プロファイルと一貫しており、新たな安全性上の懸念は認められなかった。

・治療中に発現した有害事象(TEAEs)の多くはグレード1または2であり、グレード3または4の有害事象の発現率は、ビムセルチニブに割り付けられた群とプラセボからビムセルチニブを投与した群で同程度であった。

・ビムセルチニブ投与患者の15%以上に新たに発現したTEAEsはなく、複数名で新たに発現した重篤な有害事象はなかった。

・血清酵素の上昇は、CSF1R阻害の既知の作用と一致しており、胆汁うっ滞性肝毒性や薬剤性肝障害への影響は認められなかった。

 ビムセルチニブは、コロニー刺激因子1受容体(CSF1R)を選択的にかつ強力に阻害するよう設計された経口投与可能なスイッチコントロールキナーゼ阻害剤で、デサイフェラ社独自のスイッチコントロールキナーゼ阻害剤プラットフォームを活用して創製されている。
 ビムセルチニブは、米国では、外科的切除により機能制限の悪化または重篤な病状を引き起こす可能性があるTGCT成人患者に対する治療薬として2025年2月に承認された。
 また、欧州では、臨床的に重要な身体機能の低下を伴い、外科的治療による効果が期待できない、または外科的治療により耐え難い病状や障害が生じる可能性のあるTGCT成人患者の治療薬として2025年9月に承認されている。

◆Matthew L. ShermanデサイフェラChief Medical Officer(医学博士)のコメント
 長期にわたるP3相MOTION試験の結果は、TGCTに対してビムセルチニブがベストインクラスの治療薬であることを裏付ける既存のエビデンスをより確かなものにするものだ。TGCTはしばしば激しい痛みやこわばり、運動機能障害を引き起こす。
 今回の結果はビムセルチニブが患者さんに持続的な効果をもたらすことを示している。

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