ESGCTアデノ随伴ウイルス筋指向型ベクターの非臨床研究データ発表 JCRファーマ

 JCRファーマは7日、7日~10日までの4日間スペインで開催されている第32回欧州遺伝子細胞治療学会(ESGCT)で、同社独自のカプシド改変技術を適応したアデノ随伴ウイルス(JUST-AAV)の筋指向型ベクターの非臨床研究データを発表したことを明らかにした。
 同ベクターは、肝臓回避型、脳指向型に加えて新たにJCRファーマが開発したもの。JCRファーマは、標的組織への送達性を高め、肝臓への集積性を低減させ安全性を高めたAAVベクターの作製に成功し、この技術を「JUST-AAV」と名付けている。
 JUST-AAVは、肝臓回避型、筋指向型、脳指向型など、複数の種類を含み、AAVによる遺伝子治療をさらに発展させる可能性をもった同社独自のプラットフォーム技術だ。
 J-Brain Cargoを搭載した脳指向型JUST-AAVは従来のAAV9と比較して効率良く治療遺伝子を中枢神経系(CNS)へ送達することがマウスやサルで確認されている。
 今回の発表では、筋指向型のJUST-AAVがマウスおよびサルにおいて、従来のAAVに比べて効率的に筋肉に送達されることを発表した。加えて、筋への送達性を高め、肝臓回避能を有する改良型の筋指向型JUST-AAVを構築し評価したところ、筋への送達効率をさらに高めつつ、肝臓への分布を著しく低減させることを報告した。
 また、筋指向型と脳指向型を組み合わせた脳および筋二重指向型JUST-AAVを可能にしたことも合わせて報告。同発表は、JUST-AAVの効率的な遺伝子送達技術と高い安全性が次世代の遺伝子治療になり得ることを示唆している。
 薗田啓之JCRファーマ取締役専務執行役員研究本部長のコメント
 当社のJUST-AAVは、これまで治療が困難とされてきたCNS疾患に対し、より精密に標的を絞った新たな遺伝子治療法の開発への道筋を示すものである。今回発表したデータは、JUST-AAVが従来のAAV9カプシドより効率的に遺伝子を脳や筋肉へ送達しつつ、肝臓への蓄積を抑制することを実証している。この研究は、複雑な医療課題に対する革新的な解決策を開発するという当社の継続的な取り組みにおける重要な一歩である。

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