J-Brain Cargo技術プラットフォームを活用したアルツハイマー病治療薬開発で米アキュメン社と提携 JCRファーマ

 JCRファーマは15日、米国アキュメン社とアルツハイマー病の病理学的要因であるアミロイドベータオリゴマー(AβO)を標的とする新たな血液脳関門通過型治療薬の開発を目指して、同社独自のJ-Brain Cargo(JBC)技術に関するライセンスのオプション契約を締結したと発表した。
 同契約は、JCRファーマのJBC技術とアキュメン社のAβO選択的抗体「sabirnetug」を組み合わせた血液脳関門通過型アルツハイマー病治療薬を開発することを目的としたもの。
 sabirnetug は、アルツハイマー病の発症と進行の主要な病理学的要因である毒性のある可溶性AβOを標的とする。このプログラムは、JBC技術が血液脳関門を越えてsabirnetugおよび他のAβO選択的抗体を輸送し、アルツハイマー病の進行を遅らせる可能性を実証することを目的としている。
 同契約に基づき、アキュメン社は、最大2つまでのJBC技術を適用させた同社のアルツハイマー病治療薬候補に対して、全世界での開発、製造、販売に関する独占的オプション権を保有する。
 同契約により、JCRファーマはアキュメン社から契約一時金を受領するほか、アキュメン社によるオプション権行使後には、開発マイルストーンフィーとして最大4000万ドル、販売マイルストーンフィーとして最大 5億1500万ドル、合計で最大 5億5500万ドル(約 805 億円、1ドル145円換算)、加えて、販売後は正味売上高に応じた段階的ロイヤルティを受領する権利を有する。
 なお、同件が2026年3月期連結業績に与える影響は、連結業績予想に織り込み済みである。
 
◆芦田信JCRファーマ代表取締役会長兼社長のコメント
 アルツハイマー病は医学における最大の未解決課題の一つであり、アキュメン社との協業は、この課題に取り組む当社にとって重要なマイルストーンである。当社のJBC技術とアキュメン社の革新的なAβO選択的抗体を組み合わせることで、神経変性疾患において進展が限られていた安全かつ効果的な脳へのバイオ医薬品の送達という課題克服を目指している。
 この提携によって、アルツハイマー病における有望なアプローチが推進されるだけでなく、中枢神経系医薬品の開発においてJBC技術が臨床的に検証された拡張可能なプラットフォームとしてより評価されることを期待している。

◆Daniel O’Connellアキュメン社CEOのコメント
 毒性のあるアミロイドベータを標的とすることでアルツハイマー病の経過を有意義に変える、そのような信念をもって当社は設立された。JCRファーマとの協業によって、脳に治療薬を直接届けるための強力な新規アプローチに挑むことができる。当社のAβO 選択的抗体の技術とJCRファーマのJBCプラットフォーム技術の組み合わせによって、アルツハイマー病に罹患する患者さんの治療にパラダイムシフトを起こす可能性のある治療薬開発を推進できると考えている。

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