ペムブロリズマブ皮下注製剤 非小細胞肺がん一次治療P3試験でキイトルーダに対し薬物動態学的に非劣性示す MSD

 MSDは25日、ベラヒアルロニダーゼ アルファを配合ペムブロリズマブ皮下注製剤「ペムブロリズマブ)について、P3試験(3475A-D77試験)でキイトルーダに対して薬物動態学的に非劣性を示したと発表した。
 同試験において、転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者の一次治療としてペムブロリズマブ皮下注(2分[中央値]かけて皮下投与)と化学療法の併用療法は、キイトルーダと化学療法の併用療法に対して薬物動態において非劣性を示し、主要評価項目を達成したもの。
 副次評価項目の奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、奏効期間(DOR)および安全性は、ペムブロリズマブ皮下注+化学療法とキイトルーダ+化学療法で同様であった。全生存期間(OS)の中央値はいずれの群も未到達であった。
 これらの試験結果は、3月27日にEuropean Lung Cancer Congress(ELCC、欧州肺癌学会)2025で発表され(アブストラクト#8MO)、Annals of Oncologyに掲載された。
 これらのデータに基づき、これまでに承認されているキイトルーダの固形がんに対するすべての適応症の承認取得を目的としたペムブロリズマブ皮下注の生物製剤承認申請(BLA)を行い、米国FDAに受理された。FDAによる処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)の審査完了予定日は本年9月23日に設定されている。
 また、キイトルーダの新剤形および新投与経路の適用拡大申請が欧州医薬品庁(EMA)に受理された。さらに、3475A-D77試験と並行して実施された前向き観察研究による時間動作研究の記述的解析において、ペムブロリズマブ皮下注では患者の治療時間と治療室滞在時間がキイトルーダと比較してそれぞれ49.7%、47.4%短縮し、医療従事者による薬剤の準備、投薬、患者のモニタリングに関わる総稼働時間が45.7%短縮した。
 この結果はELCC 2025でポスター発表された(ポスター#33P)。
 3475A-D77試験では、ペムブロリズマブ皮下注(4.8 mLを6週間間隔で2分[中央値]かけて皮下投与)+化学療法は、主要評価項目である最初の投与サイクルにおけるペムブロリズマブの血中濃度時間曲線下面積(AUC、幾何平均比1.14 [96% CI, 1.06-1.22]; p<0.0001)と定常状態におけるモデルに基づくトラフ濃度(Ctrough、幾何学平均比1.67 [94% CI, 1.52-1.84]; p<0.0001)においてKEYTRUDA®点滴静注(6週間間隔投与)+化学療法に対し、非劣性を示した。

◆エンリケタ・フェリプVall d’Hebron Institute of Oncology Thoracic Tumors Group責任者のコメント(博士)
 今回の結果では、ペムブロリズマブ皮下注が、点滴静注と同様の有効性と安全性プロファイルを維持しつつ、患者さんと医療従事者の双方にとって必要な時間を短縮できることが示された。
 医師として、ペムブロリズマブ皮下注が承認されれば治療中の患者さんが貴重な時間を節約しながら点滴静注と同様の結果を得られる可能性が示されたことを、非常に嬉しく思う。

◆マージョリー・グリーンMSD研究開発本部シニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発部門がん領域担当責任者(博士)のコメント
 キイトルーダは、特定のがんの治療を大きく変えてきた。当社は患者さんや医療従事者がより良い治療を体験することができるよう、この画期的な薬剤を基盤としたイノベーションを追求し続ける。
 ペムブロリズマブ皮下注が承認されれば、医療アクセスが向上し、キイトルーダ点滴静注と比較して投与時間が短縮でき、意義のある新たな治療の選択肢になると考えている。約2分で投与が可能な初のチェックポイント阻害剤の皮下注製剤を患者さんと医療従事者に提供できるよう世界中の規制当局と協力していく。

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