ニプロは29日、同社医薬品研究所 埼玉サイト(埼玉県春日部市)において、毒物を紛失したと発表した。
昨年12月23日に毒劇物に関する廃棄処理を行っていた際、薬品庫内に保管していたニコチン8本(計 475g)、メチルメルカプタン標準液(2mg/mL トルエン溶媒)1mL、メチルメルカプタン標準液(1µg/µL ベンゼン溶媒)9.75mL、二酒石酸ニコチン水和物 500mg、ニコチン-メチル-d3 50mgを紛失していたことが判明した。対象毒物は、主に禁煙治療に使用される医薬品の開発に着手した2011年から購入・保管していたもの。
その後、同医薬品の開発の見直しに伴い、対象毒物は、毒物及び劇物取締法の規定に従い、低温の確保される冷蔵設備により施錠管理を含む厳格な方法により保管していた。今回、対象毒物が使用期限を経過したため、廃棄の手続きを進めていたところ、昨年12月23 日に、対象毒物を保管していた保管容器(施錠付き)の所在が不明であることが発覚した。対象毒物を他の保管設備に変更、移し替える際に、誤って他の廃棄物に紛れて焼却処分した可能性が高いことから、社内調査および回収業者への聞き取りなどを実施した。
だが、その原因を判明するに至らず、法令の定めに従って本年1月10日に埼玉県警春日部警察署および埼玉県春日部保健所へ届け出を行った。その後も警察と協力しながら社内調査を続けたが発見に至らず、24日に同署へ被害届を提出し、受理された。警察当局の捜査に全面的に協力するとともに、社内調査を継続し、原因究明に努めている。
ニプロは、今回の紛失により、地域住民はじめ関係者に深く謝罪するとともに、引き続き原因究明に尽力。再発防止に向けてより一層の安全管理に努めていく。