「光る植物」大阪・関西万博で一般初公開 大阪大学産業科学研究所

図:光る植物(Nicotiana tabacum / タバコ)

 大阪大学産業科学研究所の永井健治教授は、2025年大阪・関西万博の「大阪ヘルスケアパビリオン」で、自身の研究グループで研究開発した「光る植物」を出展する。
 「未来の侘び寂び」をコンセプトに自発光植物で仄かに照らし出された和室空間を展示するもの。同パビリオン「リボーンチャレンジ」において、4月21日~28日の8日間までの期間展示を予定している。
 展示では、発光タンパク質の遺伝子が導入された「自ら発光する植物」が一般初公開される。同植物は、地球規模の環境・エネルギー問題解決に向け、屋内外照明や街路樹への展開など実用化が期待される。将来的には、自発光植物が吸収したCO2を、バイオ燃料など有用資源へ転換する代謝システムの構築を目指す。

大阪ヘルスケアパビリオン

 再生可能エネルギー利用や省エネ製品の普及など、環境問題への意識が生活の中で身近なものになりつつある。こうした中、温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す「2050年カーボンニュートラル」の実現のためには、より革新的な技術開発が求められているのが現状だ。
 永井氏は、我々の生活に根ざした電力利用を見直すために、電力を必要としない「光る花」や「光る樹木」を照明として代替で大阪ヘルスケアパビリオンきれば、火力発電による二酸化炭素排出量の削減につながると考えた。
 実際に、オワンクラゲなど発光生物のメカニズムの研究から高光度発光タンパク質「ナノランタン」を開発し、また、発光キノコや発光バクテリアが有する発光システムを改変して導入することで自発光植物の作製に成功して以降、屋内外照明としての実用化に向けた研究に日々取り組んでいる。
 目指すのは、より明るく光り、よりCO2を吸収し、さらには有用資源を生産する多機能植物の開発、さらには持続可能な高循環型資源利用社会である。
 永井氏の研究グループはこれまでに、ゼニゴケをはじめとしてペチュニアやシクラメン、タバコ、ポプラなどの植物の発光を成功させている。大阪・関西万博では、「未来の侘び寂び」をコンセプトに自発光植物で仄かに照らし出された和室空間を展示する。

タイトルとURLをコピーしました