田村薬品工業は29日、グローバルGMPに対応した紀ノ光台工場(和歌山県橋本市)の竣工式を開催した。
始めに田村大作社長が、「医薬品業界は、薬事法改正、薬価改定、GMP基準の変更など、非常に厳しい状況下にある。こうした中、田村薬品は、守りの姿勢ではなく攻めの一手で、4年前に紀ノ光台工場建設を決めた。新工場の機能を最高な形で使い切っていきたい」と明言。
その上で、「世界的に安心して貰える品質、物作りへの感性、社員の熱意などあらゆる面でさらなる向上を目指し、質の濃い仕事を提供して皆様のご期待に応えたい」と抱負を述べた。
祝辞では、下宏和歌山県副知事が「70年以上に渡り医薬品生産携わって来られた田村薬品が、当地に最新鋭工場を開設された。立派な製品を社会に提供して業績を上げ、世界に打って出て頂きたい」と要望。
続いて、平木哲朗橋本市市長は、「本年3月、田村薬品は経済産業省の地域未来牽引企業に選定された。田村会長が言われる“グローバル企業”への後押しを国もしてくれると思う。頑張ってほしい」とエールを送った。
取引先代表として西井良樹第一三共ヘルスケア代表取締役会長は、「田村薬品さんとのご縁は、1988年に医薬品ドリンクの製造をお願いしたのが始まりで、その後も様々な主力製品を製造して頂いている。我々とは、長い間の信頼関係に基づいた最重要パートナーである」と紹介。
さらに、「新工場稼働で、品質、コスト、デリバリーにさらに磨きをかけて田村イズムを十分に発揮し、世界に羽ばたいてほしい」と訴えかけた。
世界進出視野にグローバルGMP対応
来年4月稼働予定の紀ノ光台工場は、製品設計から生産まで一貫した医薬品製造受託を可能とする。将来の増産に向けた拡張エリアも確保しており、世界進出を視野に入れた「グローバルGMP対応」を大きな特徴とする。
加えて、錠剤移送、保管に小型容器を採用し、小型容器が工程室に自動で運び込まれた後は、打錠、糖衣、錠剤検査及び包装ホッパー投入までの工程間をハンドリングロボットが完全自動で生産する新製造方式(スマートカンガルー方式)を採用。各工程における人の介入を最小限にした、高い品質と安定供給、コストメリットを実現していることも見逃せない。
紀ノ光台工場の主な概要は次の通り。
◆所在地:和歌山県橋本市紀ノ光台三丁目2番1
◆敷地面積:4万9017㎡(平場部2万7200㎡)
◆工場棟:鉄筋7階建(高さ約32m×幅約40m×奥行約75m)
◆物流倉庫棚数:原料・資材・製品倉庫1051棚、中間品倉庫396棚
◆製造剤形:内服固形製剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、FC錠剤など
◆生産能力:第一期設備導入で年間6億錠、MAXで年間12~15億錠。当初は、従業員25名で年間約5億錠を生産予定。
◆主な特徴:①クロスコンタミネーションリスクを排除、②自動化で迅速稼動・効率的生産を追及、③顧客ニーズに柔軟に対応、④人・環境に配慮ーなど。