「2026年診療報酬改定に向けた提言」など2025年の活動方針発表 AMDD

玉井AMDD会長

  米国医療機器・IVD 工業会(AMDD、会長:玉井孝直氏)は10日、年頭記者会見を開催し、活動方針を発表した。
 AMDDは、主として米国に本社がある、または米国でビジネスを行う医療機器や体外診断用医薬品(IVD)を扱っている企業によって構成される工業会。
 日本の医療現場と患者さんのニーズに応え、最新の医療技術(治療技術および診断技術)や情報を提供し、日本を健やかにしていくことを目指している。
 会員企業は、製品の輸入販売を行うだけでなく、日本での研究開発や製造、また日本で開発製造された部品を製品に活用するなど、日本の医療機器産業と密接な協力関係を持っている。
 2040年には3人に1人が65歳以上の高齢者となり、現行の社会保障制度の持続可能性への懸念をはじめ、さまざまな社会課題の発生が想起される中、メドテック(個別技術)の果たす役割はますます重要となっている。
 こうした中、AMDDは2025年の取組として、①2026年診療報酬改定に向けた提言、②人々のヘルスリテラシー向上に向けた取組、③デジタルヘルス領域における情報収集・分析と提言を掲げて、3領域の活動に注力していく。さらに、会見では、次の2つのトピックについて説明された。

①日本の医療現場にイノベーションを届け続ける
 世界における日本市場の競争力が上がり、世界から日本への投資が活発化することにより、患者さん
にとって必要な医療機器・体外診断用医薬品等の技術革新が円滑に日本市場へ導入されるために、継続的な制度改革に向けた提言を実施する。

②適切な情報提供によるヘルスリテラシーの向上
 信頼できる情報に基づいて適切に健康管理や医療機関への受診を行い、最適な医療サービスを受けることができる環境の実現に向け、広告・情報提供のあり方に関して政府・関係機関を含めた関係各所と対話を進めるとともに、ヘルスリテラシーの向上に向けて取り組む。

左より 小野崎氏、宿野部氏、玉井氏

 会見では、「メドテック:イノベーションと情報の価値」をテーマとしたパネルディスカッションも開かれ、小野崎耕平氏(サステナヘルス代表理事/聖路加国際大学公衆衛生大学院客員教授)と、宿野部武志ピーペック代表理事を迎え、学識経験者、患者、メーカーの立場からメドテックをとりまく環境や今後への期待についてディスカッションが展開された。
 小野崎氏からは、「ヘルスリテラシーの有無は、患者さんが選択できる治療の差にもつながり、明らかな健康リスクである。ヘルスリテラシー向上は急務であり、今まさに情報提供について考える時ではないか」との意見が出された。
 玉井AMDD会長は、日本の医師の意見がグローバルの医療機器の製品開発に活かされ、世界の手術現場で活用されている例を紹介。その上で、「日本の患者のために、必要な医療機器・IVD を日本に導入し供給し続けることが重要であり、そのために、世界の中で日本の競争力をより強化すべく、診療報酬制度の継続的な改善や物流改革等にも業界として継続的に取り組みたい」と抱負を述べた。
 宿野部氏は、「さまざまな情報に溢れた現代において、エビデンスが伴った信頼できる情報を患者やその家族が見つけるのは困難である」と明言。
 一方で、「そうした価値の高い、正確な情報に基づいて適切な治療の選択肢に辿り着くためには、メドテックメーカーからの情報提供も有用であり、それが制限されていることが患者にとっての不利益となることもある」と指摘し、メドテックのイノベーションや情報提供の重要性について議論された。

◆「価値に基づく医療(Value-Based Healthcare:バリューベース・ヘルスケア)」へのAMDD の取り組み
 AMDD は日本における質の高い医療と持続的な医療財政の両立に貢献すべく、「価値に基づく医療
(Value-Based Healthcare:バリューベース・ヘルスケア)」の実現を推進している。人々がより健康
に、幸せに生きることができる社会づくりのために、日米の政府や関連業界団体、学会をはじめ多くの
皆様と協力しながら、今後も政策提言を含めたさまざまな活動に取り組んでいく。

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