眼圧下降点眼薬STN1013001 韓国とベトナムで承認申請受理 参天製薬

 参天製薬は11日、開放隅角緑内障・高眼圧症における眼圧下降点眼薬「STN1013001」について、韓国の食品医薬品安全処(Ministry of Food and Drug Safety)およびベトナムの医薬品管理局(Drug Administration of Vietnam)に承認申請が受理されたと発表した。
 参天製薬がアジア事業地域において同剤の申請をするのは、韓国およびベトナムが初めて。同剤は、2024年8月よりCatiolanzeの名称でドイツやスペインなど、欧州7カ国で販売されている。
 緑内障は、視野欠損につながる視神経の損傷を引き起こし、多くの国において視力低下や失明を含む視覚障害の主な原因となっている。この疾患は、一般に進行性で非可逆性であるため、早期発見・早期治療によって進行をコントロールすることが不可欠だ。眼圧を下げることは視神経の損傷を回避する有効な治療法であり、緑内障による視野障害の進行を抑制するためのエビデンスに基づく唯一確実な治療法とされている。
 また、緑内障あるいは高眼圧症の患者さんの約60%で少なくとも片眼に眼表面疾患(Ocular Surface Disease、OSD)の自覚症状および/あるいは他覚所見が認められたとの報告がある。涙液層が劣化し、眼表面が損傷する多因性の疾患であるOSDは、緑内障を管理する上で新たな課題となっている。
 STN1013001は、防腐剤無添加のカチオニック(プラスに帯電したイオン)乳化点眼剤で、ラタノプロストを50μg/mL含有している。ラタノプロストは、上昇した眼圧を下降させる、プロスタグランジン関連薬である。
 また、この製剤には、プラスに帯電した点眼液がマイナスに帯電した眼表面に引きつけられて、眼表面での分布性と滞留性が向上する技術が用いられている。参天製薬が開発したこの特許技術は、涙液の油層の表面特性を向上させ、ドライアイ向けの人工涙液などの中核技術として用いられている。
 この承認申請は、欧州とアジアで実施された第Ⅲ相臨床試験であるSTN1013001(ラタノプロスト50μg/mLカチオニック乳化点眼剤)とラタノプロスト50μg/mLとの非劣性試験の結果に基づくもの。
 主要評価項目である眼圧下降について、STN1013001は、12週目の午前9時と午後4時の眼圧において、ラタノプロスト50μg/mLに対する非劣性が示された。さらに、4週目の両時刻においても12週目と同じく非劣性が示された。
 副次的評価項目であるOSDの改善においても、12週目の角膜フルオレセイン染色スコアをもって、ラタノプロストに対するSTN1013001の優越性が示された。

◆ピーター・サルスティグ参天製薬チーフ メディカル オフィサーのコメント
 多くの緑内障患者さんはOSDに苦しんでおり、その症状に対する治療選択肢を待ち望んでいる。眼圧の下降に加え、眼表面の保護・改善が期待できる本剤を通じ、アジアにおける緑内障患者さんの治療選択肢を広げ、さらなるQOL向上に寄与できると考えている。

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