MSDは7日、開発中の抗RSウイルスモノクローナル抗体「クレスロビマブ」(MK-1654)について、P2b/3相試験(MK-1654-004)において健康な早産児および正期産児のRSウイルス感染症の発生率と入院率を有意に低下させたと発表した。
同剤は、感染流行期を迎える乳児のRSウイルス感染症を予防するモノクローナル抗体である。同試験結果は、現在進行中のクレスロビマブのP3試験(MK-1654-007)の中間解析結果と合わせて、カリフォルニア州ロサンゼルスで10月16〜19日に開催されたIDWeek 2024で発表された。
健康な早産児および正期産児(出生から1歳を迎えるまで)を対象にクレスロビマブの単回投与を評価するプラセボ対照P2b/3試験のMK-1654-004では、事前に規定されたすべての評価項目を達成し、5カ月および6カ月の時点で一貫した結果が得られた。
有害事象(AE)および重篤な有害事象の発現率は、クレスロビマブ群とプラセボ群で同程度であり、試験期間中、治療関連またはRSウイルス関連の死亡例はなかった。
同試験の有効性の主要評価項目として、投与後150日目(5カ月目)までにRSウイルス関連の医療介入が必要となった下気道感染症(MALRI)、下気道感染症[LRI]または重症度の指標が1つ以上)の発生率をプラセボと比較したところ、60.4%(95% CI: 44.1, 71.9, p<0.001)低下した。
またクレスロビマブでは、150日目(5カ月目)までのRSウイルス関連の入院(副次評価項目)およびRSウイルス関連のLRIによる入院(三次評価項目)についても、プラセボと比較してそれぞれ84.2%(95% CI: 66.6, 92.6, p<0.001)、90.9%(95% CI: 76.2, 96.5)低下した。
クレスロビマブの投与により、重症のMALRIの発生率(三次評価項目)が91.7%(95% CI: 62.9, 98.1)低下した。
さらに、事後解析において、MALRI(LRIおよび重症度の指標が2つ以上)(主要評価項目のMALRIのより重症度の高いMALRIを評価)の150日目(5カ月目)までの発生率は、88.0%(95% CI: 76.1, 94.0)低下した。
◆オクタビオ・ラミーロMK-1654-004試験・MK-1654-007試験治験責任医師(St. Jude’s Children’s Research Hospital感染症部門責任者)のコメント
RSウイルス感染症は、健康な乳児もリスクを有する乳児も感染しうる、広く分布する季節性の感染症で、乳児の入院の主な原因となっている。
MK-1654-004試験では、外来対応の軽症から入院が必要な重症なケースまで幅広いRSウイルス感染症を評価した。今回の有望な結果では、入院を含めRSウイルス感染症の発生率の低下が認められ、クレスロビマブが乳児や家族が直面するRSウイルスの継続的な負担を軽減するという、重要な役割を担う可能性が示された。