アッヴィ合同会社は15日、リンヴォックについて、P3相試験(Measure Up 1試験、Measure Up 2試験)において、アトピー性皮膚炎の頭頸部病変における重症度別の有効性を示す新たな事後解析結果を得たと発表した。
同解析では、中等症から重症のアトピー性皮膚炎(AD)患者を対象に、ベースライン時における頭頸部領域病変の重症度に基づいて層別化し、16週間にわたりウパダシチニブ(15 mgまたは30 mg)の有効性をプラセボと比較し、評価したもの。
同解析においては、患者の各サブグループを対象に、複数の最適かつ厳格な治療目標[頭頸部領域におけるほぼ完全な皮膚症状の改善(頭頸部のEASIスコアが1未満)、ほぼ完全な皮膚症状の改善(EASI 90)、かゆみがない/ほとんどない状態(WP-NRS 0/1)および生活への影響はない状態(DLQI 0/1)]について、ウパダシチニブの投与による達成を評価した。患者の層別化については、頭頸部病変がない/軽度、中等度または重度であることを層別因子とした。
コントロール不良なADである場合、患者の生活に身体的、心理的、社会的に大きな影響を及ぼす可能性があり、多くの患者が、消耗性の症状に起因して長期にわたる顕著な疾患負荷を抱えることになる。
研究結果から、頭部、頸部、顔面、手など、特定の部位に現れるADの症状は、症状の発生頻度や患者の生活の質に重大な影響を及ぼし得ることが示されている。
リアルワールド観察研究では、UP-TAINED試験で70%、AD-VISE試験で74.5%以上のAD患者において、ベースライン時に頭頸部病変が認められた。患者への影響が大きく、治療が難しい頭頸部領域において病変が認められる割合が高いことから、この領域に対する有効な治療法の必要性が高まっている。
◆Kilian Eyerichフライブルク大学・皮膚性病科の部長兼教授、M.D., Ph.D)のコメント
今回のデータは、頭頸部領域におけるアトピー性皮膚炎の重症度で層別化されているが、この領域は患者さんに及ぼす影響が大きく、治療が難しい部位である。重症度の異なる頭頸部病変を有する中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者さんにリンヴォックを投与した際に、16週時のEASI 90とWP-NRS 0/1を合わせた評価結果から、多くの患者さんにおいて高い治療目標が達成されたことが示されており、またDLQI 0/1に基づいて評価した生活の質にも改善が見られた。
◆Andrew Anisfeldアッヴィvice president, global medical affairs, immunology(Ph.D.)のコメント
AD患者さんの多くは、症状の管理を行っているにも関わらず、消耗性の症状を抱えたまま生活している。特に頭頸部など周囲の人からよく見える部位に病変があると、身体的、心理的な負担が大きくなる。今回得られたデータは、アトピー性皮膚炎患者さんが可能な限り良好な状態を目指していけるよう、標準治療のレベルを高めていくという当社の継続的な取り組みに寄与するものである。