大阪府薬剤師会は2日、定例記者会見を開き、乾英夫会長が10月1日から開始された長期収載品の選定療養について言及。「全て薬剤師が説明しなければならない。患者さんには6月以降からパンフレットを渡しているが、周知できていない」と現状報告した。
さらに、「後発品が安定供給されていないため、薬局に後発品が無い場合は、選定療養の対象にはならない。薬局の都合で患者さんの負担はゼロになる。品目によっては、後発品が日々変わってくる」と課題を指摘し、「国には、選定療養の周知と後発品の安定供給をしっかり行ってほしい」と要望した。
乾氏は、2024年度の新規事業である「ナッジ(気づき)を活用した適正服薬推進事業」にも言及。「患者の気づきを促して適正な服薬に繋げたい」と豊富を述べた。10月27日に行われる衆議院選挙についても「9日に解散し、15日公示される。大阪7区(吹田市、摂津市)から出馬する薬剤師の渡嘉敷直美氏がなんとしても衆議院議員に返り咲くように全力で取り組みたい」と強い決意を示した。
長期収載品の選定療養は、先発品の長期収載品と薬価が最も高い後発品との差額の1/4を選定療養として保険適用外とし、患者に負担を求めるもので、10月1日よりスタートしている。
宮田憲一副会長は、スタート当初の薬局での状況として「患者さんは、1000円程度差額負担が出ても先発品を希望している。今のところトラブルは無い。85%が後発医薬品に切り替わっているので、この制度によって先発品から後発品に切り替える患者さんは少ないと考えられる」と報告した。
「ナッジを活用した適正服薬推進事業」は、市町村国保が重複・多剤服薬者に対する効果的な保健指導の支援を行い、被保険者の医薬本適正使用についての意識向上と医療費の適正化を図ることを目的としたもの。松原市と寝屋川市をモデル地区に、10月より開始して2カ月間実施する。
具体的には、松原市と寝屋川市の国保課が、60歳未満で複数の医療機関を受診している患者で重複投与、多剤投与を受けているレセプト点数の多い患者をピックアップして通知する。通知対象者は、松原市100人、寝屋川市60人(重複投与30人、多剤投与30人)。通知内には、対象期間内のレセプトで最も点数が大きい薬局が参考記載される。
通知後、モデル地区の保健師らが対象者に電話等で保健指導を行い、掛かりつけ薬局での相談を推奨する仕組みになっている。掛かりつけ薬局では、①重複・多剤服用者に対する服薬管理指導、②残薬管理指導を通じた医薬品適正使用啓発、③リーフレトによる医薬品適正使用啓発ーを実施する。なお、2025年度については、24年度の実施結果を踏まえた上で、他のモデル地区で実施し横展開を図る。
道明雅代副会長は、「患者さんに、”薬をたくさん飲んでいれば良い”という考えは間違っていることに気付いて貰うことも重要である」と指摘し、「市町村国保では、この制度によってどれだけ薬が減ったかを数字で示せることも大きい」と述べた。
乾氏は、「薬の専門家である薬剤師が、ナッジを活用した適正服薬推進事業に参画しているので、間違いなく良い結果が出る」と訴求した。
左から山岡氏、乾氏、道明氏、宮田氏